2019年8月4日日曜日

住込み浪人[その168]







「(ボクが、『住込み』二浪目を志望校のハンカチ大学ではなく、ここOK牧場大学でで過ごしているのも、リサ・ランドール博士的『5次元』に導く『ヒッグス・シングレット』の為せる技なんだろうが、ここでは『チースインモーハンバーグカレー』を食べさせられそうになるだけで、全くここにいる意味なんてないではないか!)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年のその言葉に、OK牧場大学の学生食堂で彼の前に置かれたままのカレーは、観念したかのように沈黙している。

「(そろそろ『チースインモーハンバーグカレー』を食べではどうだ?)」

2階の特別食堂の手摺から顔を出したエヴァンジェリスト青年は、1階から自分に顔を向ける友人『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の前に置かれたままとなっているカレーを思いやる言葉を発する。

「(そんなことを云うなら、君が食べたらどうだ!)」
「(他人のカレーを食べるなんて礼を失する行為はせん)」
「(ふん!そう云うだろうと思っていたさ)」
「(ふん!『そう云うだろうと思っていたさ』と云われるだろう、と思っていたさ)」
「(ええい!相変らず面倒臭い男だ!ボクは今、こんなことに煩わされている暇はないんだ!ボクは、もっと受験勉強をしないといけないんだ!二浪中なんだ。二浪の『住込み浪人』なんだ!)」



「(そうだ。そうだとも、君は、二浪の『住込み浪人』だ。ふふ)」
「(笑うな!自覚していることを指摘されること程、不愉快なものはない!)」


(続く)



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