『少年』は、広島市立皆実(みなみ)小学校[ミナミショー]に入学した時も、ハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その3]の続き)
「こっちじゃ」
ムジカ先生は、音楽室を出ると直ぐに左折し、振り向いて『美男子』少年に、ついてくるよう、促した。
「…..はい….」
エヴァンジェリスト少年の声に力はない。
「ギッギッギッ」
ムジカ先生は、左折し、数歩のところにある階段を軋ませながら登った。
音楽室のある校舎は2階建であったが、2階半、というか中3階の小部屋があり、そこが音楽の先生の教務室になっていたのだ。
「キッキッキッ」
入学したばかりで、小学生とそんなに違わない体の中学1年生であったからなのか、或いは、その中学1年生の不安のせいなのか、階段の軋みは静かであった。
「入れ」
ムジカ先生に続き、音楽教師の教務室に入って行く少年の後ろ姿をクラスの女子生徒たちが見上げていた。
「(なんじゃろ?あの子が、特別なんは分るけど)」
「(スタイルもええんじゃね)」
「(頭が小さいんじゃ)」
「(お尻もなんか、プンと上がっとって、なんかええねえ)」
(続く)
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