(住込み浪人[その174]の続き)
「そうだよ。疑問を持つことさ」
OK牧場大学の学生食堂で、2階の特別食堂の手摺から顔を出しているエヴァンジェリスト青年との『会話』に疑問を持ったその時だ。突然、正面から声をかけられた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、顔をカレーから上げた。
「2階のあの男の言う通りだよ」
OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャン『サキ』であった。
「え!?」
限度を超えた衝撃に、一音を発することしかできなかった。
「(オバチャン…….オバチャンは、ボクとエヴァの心の会話を読み取っていたのか!?)」
「読み取るも読み取らないも、スミローちゃん、あんたのことは総てお見通しさ。ふふんう」
「(んぐっ!)」
『ふふんう』に、思わず、股間を両手で隠した。
「さあ、お食べ」
オバチャンは、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の前に置かれたカレーに両手を添え、体を硬直させた青年の方に押しやった。
「(いや…..)」
「スミローちゃん、アンタ、『チーズインモーハンバーグ・カレー』なんて食べられる代物ではない、と思ってるんだろ?」
「(思うも思わないも、そんなの当り前だ)」
「それだよ、それがいけないのさ。『当り前』を疑うのさ」
「(そんな問題では…..)」
(続く)
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