『ミドリチュー』時代、『少年』は、まだなんとか、ハブテン少年であった。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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「エヴァンジェリスト!」
ムジカ先生に呼び止められた。
「先生の部屋に来い」
入学して最初の音楽の授業が終り、階段教室である音楽室の席から立ち上がり、自分の教室に戻ろうと音楽室の出口に向かおうとした時であった。
「え?.....はい…..」
エヴァンジェリスト少年は、戸惑いは見せたが、素直であった。
「……….」
他の生徒たちが、無言でエヴァンジェリスト少年に視線を送った……と見えたが、
「(やっぱり、あの子…….)」
と、クラスの殆どの女子生徒たちは、口の中で呟いていた。
「(特別なんかねえ?)」
しかし、エヴァンジェリスト少年は、気付かなかった。
(続く)
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