2019年8月13日火曜日

ハブテン少年[その1]




『ミドリチュー』時代、『少年』は、まだなんとか、ハブテン少年であった。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。



************************


「エヴァンジェリスト!」

ムジカ先生に呼び止められた。

「先生の部屋に来い」

入学して最初の音楽の授業が終り、階段教室である音楽室の席から立ち上がり、自分の教室に戻ろうと音楽室の出口に向かおうとした時であった。



「え?.....はい…..」

エヴァンジェリスト少年は、戸惑いは見せたが、素直であった。

「……….」

他の生徒たちが、無言でエヴァンジェリスト少年に視線を送った……と見えたが、

「(やっぱり、あの子…….)」

と、クラスの殆どの女子生徒たちは、口の中で呟いていた。

「(特別なんかねえ?)」

しかし、エヴァンジェリスト少年は、気付かなかった。


(続く)



0 件のコメント:

コメントを投稿