2019年8月14日水曜日

ハブテン少年[その2]




『少年』は、『ミドリチュー』に入る前から、ハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「(特別じゃもんねえ)」

クラスの殆どの女子生徒たちは、エヴァンジェリスト少年を見て、そう思った。

「(アラン・ドロンよねえ)」

当時、『美男子』の代名詞は(『当時』は、イケメンという安っぽい表現はなかった)、『アラン・ドロン』なのであった。



「先生の部屋に来い」

入学して最初の音楽の授業が終り、階段教室である音楽室の席から立ち上がり、自分たちの教室に戻ろうと、生徒たちが、音楽室の出口に向かおうとした時、音楽のムジカ先生は、生徒の一人、エヴァンジェリスト少年を呼び止めたのだ。

「え?.....はい…..」

と、戸惑いながら、ムジカ先生の方に向いたエヴァンジェリスト少年の横顔に見えた『美男子』の憂いに、同じクラスの女子生徒たちは、

「(んんん…..なんじゃろ、これ?)

体の中に、それが何か分らないが、何か『疼く』ものを感じた。

「行くで」

巨体のムジカ先生の後について、『美男子』少年は、音楽室を出て行った。


(続く)



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