『少年』は、『ミドリチュー』に入る前から、ハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その1]の続き)
「(特別じゃもんねえ)」
クラスの殆どの女子生徒たちは、エヴァンジェリスト少年を見て、そう思った。
「(アラン・ドロンよねえ)」
当時、『美男子』の代名詞は(『当時』は、イケメンという安っぽい表現はなかった)、『アラン・ドロン』なのであった。
「先生の部屋に来い」
入学して最初の音楽の授業が終り、階段教室である音楽室の席から立ち上がり、自分たちの教室に戻ろうと、生徒たちが、音楽室の出口に向かおうとした時、音楽のムジカ先生は、生徒の一人、エヴァンジェリスト少年を呼び止めたのだ。
「え?.....はい…..」
と、戸惑いながら、ムジカ先生の方に向いたエヴァンジェリスト少年の横顔に見えた『美男子』の憂いに、同じクラスの女子生徒たちは、
「(んんん…..なんじゃろ、これ?)
体の中に、それが何か分らないが、何か『疼く』ものを感じた。
「行くで」
巨体のムジカ先生の後について、『美男子』少年は、音楽室を出て行った。
(続く)
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