『少年』は、『広島カープ』の大エースであった『大石清』投手が、『阪急ブレーブス』の『大石弥太郎』投手と交換トレードで移籍してしまったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その22]の続き)
「エト君、内緒でえ」
と、釘を差しながら、エヴァンジェリスト少年は、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)で同じクラスの友人エトワール君と、自分の好きな女の子を告白し合った。
「誰にも云わんのんでえ、ボクも云わんけえ」
授業と授業の間の休憩時間やお昼休み、二人は常に行動を共にし、常にそれぞれの好きな女の子とのことを語り合った。
….とは云っても、
「今日も、眼が合ったけえ(じゃけえ、あの子もボクのこと好きなんじゃろう)」
といった他愛のない会話であるが、実は、二人は共に、相手の話をまともには聞いていなかった。各々、自分の恋路を語りたいだけなのだ。
しかし、ある日のお昼休みであった。
「エヴァ君、『クッキー』子さんのこと好きなん?」
と話し掛けてきた男子生徒がいた。
「え!?」
驚いたエヴァンジェリスト少年は、その時も行動を共にしていたエトワール君を見た。エトワール君も口を開けており、彼がバラしたのではないと分った。
「なんでえ?」
と、エヴァンジェリスト少年に問われた男子生徒は、
「黒板の裏、見いや」
と云うと、その場を立ち去った。
(続く)
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