2019年9月7日土曜日

ハブテン少年[その23]




『少年』は、『広島カープ』の大エースであった『大石清』投手が、『阪急ブレーブス』の『大石弥太郎』投手と交換トレードで移籍してしまったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「エト君、内緒でえ」

と、釘を差しながら、エヴァンジェリスト少年は、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)で同じクラスの友人エトワール君と、自分の好きな女の子を告白し合った。

「誰にも云わんのんでえ、ボクも云わんけえ」

授業と授業の間の休憩時間やお昼休み、二人は常に行動を共にし、常にそれぞれの好きな女の子とのことを語り合った。

….とは云っても、

「今日も、眼が合ったけえ(じゃけえ、あの子もボクのこと好きなんじゃろう)



といった他愛のない会話であるが、実は、二人は共に、相手の話をまともには聞いていなかった。各々、自分の恋路を語りたいだけなのだ。

しかし、ある日のお昼休みであった。

「エヴァ君、『クッキー』子さんのこと好きなん?」

と話し掛けてきた男子生徒がいた。

「え!?」

驚いたエヴァンジェリスト少年は、その時も行動を共にしていたエトワール君を見た。エトワール君も口を開けており、彼がバラしたのではないと分った。

「なんでえ?」

と、エヴァンジェリスト少年に問われた男子生徒は、

「黒板の裏、見いや」

と云うと、その場を立ち去った。


(続く)




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