2019年9月29日日曜日

ハブテン少年[その45]




『少年』は、『広島カープ』の『今津光男』内野手が、中日ドラゴンズから移籍し1965年からカープの選手となったものの、1965年も1966年も、当時の他の多くのカープの選手同様、いい打率を残すことはできなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「エヴァ、腕をまっすぐに伸ばせ!」

と云って、パンヤ先生は、エヴァンジェリスト少年が脇から横に上げた腕を叩いた。

「あ、はい…….」

体育の授業だ。徒手体操を習っていたが、自分では、腕を真っ直ぐに伸ばしているつもりであったのだ。

「お前、まっすぐに伸ばせえや!」
「は、はい……」
「あれ、お前、どうして真っ直ぐ伸ばせんのんやあ?」

パンヤ先生は、エヴァンジェリスト少年の腕をとり、不思議そうに回した。

「なんじゃあ、お前、猿腕かあ」

パンヤ先生は、仕方なそうに息を吐いた。

「は?」

怒られるのかと怯えていたが(怒られる覚えはなかったのではあったが)、怒られるようではなかったので、ホッとした。しかし、

「(え?ボクが猿?)」



自分は美少年であるという自覚があったので、不満であった。しかし、それをおくびにも出さない。だって、『ハブテン』少年なのだから。それに、

「(でも、パンヤ先生は、『猿』と云ったのではなく、『サルウデ』と云ったように聞こえたぞ)」

しかし、『サルウデ』が何か知らなかった。


(続く)


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