『少年』は、『広島カープ』の『安仁屋宗八』投手が、後には『外木場義郎』投手と並ぶエースになるものの、1965年、1966年は、まだチーム自体が弱く10勝には届かない成績であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その26]の続き)
「はい、これ…….」
『相合傘』事件があってしばらく経ったある日のお昼休み、『クッキー』子さんが、エヴァンジェリスト少年の席まで来ると、一通の封筒を少年に渡した。
「…….?」
エヴァンジェリスト少年は、唐突な出来事に無言で封筒を受け取り、口を開けたまま放心状態となっていた。
「なんやあ、それえ?」
隣の席の男子生徒が、封筒を見ながら、声を掛けてきた。
「なんでもないけえ」
と答えたものの、それが『なんでもない』ものではない、とエヴァンジェリスト少年は思った。
「ラヴレターかあ!?」
「違うけえ」
と返しながらも、ラヴレターかもしれない、いや、そうであったらいいのに、と思い、思わず、唾を飲み込んだ。
「ラヴレターじゃろ」
「なんでもないけえ」
『相合傘』事件で、『クッキー』子さんとの『結婚』がなくなった、と学校に行くのが楽しくなくなっていたが、今はまた期待に胸が疼いた。
「ええのお、ラヴレターじゃ」
「違うけえ」
早く封筒を開けたかったが、隣席の男子生徒がいたので、鞄に封筒を入れた。
「(んん?)」
エヴァンジェリスト少年は、ある感覚に襲われ、心の中で首をひねった。
(続く)
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