2019年9月11日水曜日

ハブテン少年[その27]




『少年』は、『広島カープ』の『安仁屋宗八』投手が、後には『外木場義郎』投手と並ぶエースになるものの、1965年、1966年は、まだチーム自体が弱く10勝には届かない成績であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「はい、これ…….」

『相合傘』事件があってしばらく経ったある日のお昼休み、『クッキー』子さんが、エヴァンジェリスト少年の席まで来ると、一通の封筒を少年に渡した。

「…….?」

エヴァンジェリスト少年は、唐突な出来事に無言で封筒を受け取り、口を開けたまま放心状態となっていた。

「なんやあ、それえ?」

隣の席の男子生徒が、封筒を見ながら、声を掛けてきた。

「なんでもないけえ」

と答えたものの、それが『なんでもない』ものではない、とエヴァンジェリスト少年は思った。

「ラヴレターかあ!?」
「違うけえ」



と返しながらも、ラヴレターかもしれない、いや、そうであったらいいのに、と思い、思わず、唾を飲み込んだ。

「ラヴレターじゃろ」
「なんでもないけえ」

『相合傘』事件で、『クッキー』子さんとの『結婚』がなくなった、と学校に行くのが楽しくなくなっていたが、今はまた期待に胸が疼いた。

「ええのお、ラヴレターじゃ」
「違うけえ」

早く封筒を開けたかったが、隣席の男子生徒がいたので、鞄に封筒を入れた。

「(んん?)」

エヴァンジェリスト少年は、ある感覚に襲われ、心の中で首をひねった。


(続く)


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