『少年』は、『広島カープ』の『鵜狩道夫』投手が、1959年に11勝、1965年は10勝したものの、その他の年は一桁の勝ち星しかなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その33]の続き)
「(え!?)」
『クッキー』子さんと、彼女の誕生日パーティーで招かれた同級生たちが、『クッキー』子さんの母親が『オーブン』で作ってくれた『クッキー』に手を伸ばす中、エヴァンジェリスト少年は、一瞬の躊躇を見せた。
「(『クッキー』?)」
そうだ、『クッキー』子さんの母親は、自分が作って、今、みんなに振舞っているお菓子を『クッキー』と呼んだのだ。
「(『ビスケット』じゃないんか?)」
エヴァンジェリスト少年は、そのお菓子を『ビスケット』だと思ったのだ。『ビスケット』と『クッキー』は基本的には同じ物である。しかし、敢えて云えば、糖分や油分が多めで手作り風のものを『クッキー』と呼ぶらしいが、当時、エヴァンジェリスト少年は、『クッキー』という言葉、というか、『クッキー』と呼ぶお菓子の存在そのものを知らなかった。
「うわあ、美味しいねえ!」
同級生たちは、『クッキー』子さんの家の台所で、歓喜の声を上げていた。
「(おおっ、本当じゃ。美味しいのお!)」
少し遅れて、『クッキー』を口にしたエヴァンジェリスト少年にとっても、それまで味わったことのない美味しさであった。
「(上に乗っとる宝石みたいなんも、美味しいの!)」
宝石のようにも見える赤や黄色のものが、『クッキー』の上に乗っており、それがまた、なんだか贅沢な味わいのものであった。
「(結婚したら、『クッキー』子さんも、作ってくれるんじゃ)」
同級生たちと『クッキー』を頬張りながら、エヴァンジェリスト少年は、妄想の世界に入って行った。
(続く)
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