2019年9月25日水曜日

ハブテン少年[その41]




『少年』は、『広島カープ』の『横溝桂』選手が、1966年にはオールスター・ゲームに出る等、好打者ではあったものの、3あるを打つことはなったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「(んぐっ!)」

エヴァンジェリスト少年は、両脚をすぼめ、その間に何かを隠すようにした。『クッキー』子さんの誕生日パーティに招かれ、『クッキー』作りを母親の教えてもらうという『クッキー』子さんの言葉で妄想の世界に入っていたのだ。

「(『子ども』?.......ボクたちの『子ども』、ボクと『クッキー』子さんの『子ども』!)」

『結婚』した自分と『クッキー』子さんとの間に『子ども』がいて何ら不思議ではない。しかし、どうして『子ども』がいるのか、どうして『子ども』ができたのか、だ。

「(それは、『結婚』したんだから……)」

妄想の中でも広島弁を使わなくなっていた。

「(んぐっ!)」

少年はもう知っていた。『結婚』が何であるのか。好きな女の子との思いを遂げることを『結婚』と思っていたが、その『結婚』の結果、『子ども』が出来ること、そして、どうして(どのようなことをすれば)『子ども』が出来るのか、具体的に細部にわたって知っている訳ではなかったが、少年の股間は、本能的にそれを知っていたのだ。

「(『ウンギリギッキ』だ!)」

『ウンギリギッキ』は、エヴァンジェリスト少年が、『広島市立皆実小学校』の6年生であった時に、彼のクラス10組で流行った『遊び』であった。

6年10組の男子たちは、直ぐに6年10組の教室を出て、教室のすぐ横にある体育用具準備室に行った。そして、そこで、誰かれ構わず、背後から抱きつき、

「ウンギリギッキ!ウンギリギッキ!」

と腰を振った。

抱きつかれた方は、

「ヒェーッ!」

と、喜びに満ちた悲鳴を上げた。







「(んぐっ!)」

エヴァンジェリスト少年は、妄想してはいけないものを妄想してしまった。

(続く)



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