『少年』は、『広島カープ』の『田中尊』捕手が、正捕手として守備力は高かったものの、打撃力はなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
************************
(ハブテン少年[その28]の続き)
「(『帰国子女』子ちゃん…..)」
ブラスバンドの練習を終え、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)を出て、自宅に戻る途中、エヴァンジェリスト少年は、思い出した。皆実小学校の5年生の時、その日の『クッキー』子さんと同じように、お昼休みに封筒を渡してきた同級生の少女である。
「これ」
と、『帰国子女』子ちゃんは、ピンクの封筒をエヴァンジェリスト君に手渡した(当時は、小学生なので、エヴァンジェリスト少年ではなく、エヴァンジェリスト君だ)。
「(何が書いてあるんじゃろ?『好き』いうて書いてあるんじゃろうか?)」
その時も、エヴァンジェリスト少年はそう思ったのだ。そして、封筒の中身が気になりながらも、下校途中に開封するということはしなかったのだ。
「(そうか、あの時とおんなじだ)」
ようやくdéjà-vu感の正体が分った。
「(ほいじゃけど、まだクリスマスじゃないけえのお……)」
『帰国子女』子ちゃんから渡されたピンクの封筒の中には、クリスマス・パーティの招待状が入っていたのだ。
「(やっぱりラヴレターなんかのお)」
と思うと、体が、体のどこかが急に疼くような感じに襲われた。
「(開けたい!)」
しかし、エヴァンジェリスト少年には、もらった手紙(封筒)を道端で開ける、という感覚はなかった。
皆実小学校では毎年、『学級委員』をするお行儀のいい子であったが、『ミドリチュー』でも今、生活委員を務めているのだ。生活委員たるものが、ラヴレターを路上で開封してはいけないのだ。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿