2019年9月24日火曜日

ハブテン少年[その40]




『少年』は、『広島カープ』の『水谷実雄』外野手が、後には首位打者や打点王のタイトルを取る強打者になるものの、1966年は1打席しかないまだまだの選手であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「え?....うん、有難う!」

遠慮せず手作り『クッキー』を食べるよう声をかけてきてくれた『クッキー』子さんの方に顔を上げ、エヴァンジェリスト少年は、快活に返事した。

「美味しい?」

『クッキー』子さんは、少し上目遣いにエヴァンジェリスト少年に訊いた。

「うん!とても美味しいよ!」

エヴァンジェリスト少年は、気付いていなかったが、言葉が、広島弁ではなくなっていた。

「アタシ、ママに『クッキー』の作り方、教えてもらうの」

『クッキー』子さんのその言葉に、エヴァンジェリスト少年は再び、甘美な妄想の世界に入って行った。

「(そうだ、『クッキー』子さんは、ボクの『妻』として、ボクとボクたちの子どもの為に『クッキー』を作ってくれるんだ!)」

食卓で『クッキー』を待つ自分と自分の子どもの姿が、眼の前に見えていた。が……



「もう少しでできるから、二人ともいい子で待つのよ」

『妻』がそう云って、微笑む。

(続く)



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