(治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その27]の続き)
「君は、ローマに行ったことはあるのか!?」
江ノ島の『サムエル・コッキング苑』の温室の遺構を、ローマの遺跡のようだ、と云った友人に、ビエール・トンミー氏は、かなり強い言葉を放った。
「いや、ローマでなくとも、どこかでローマ帝国の遺跡を見たことがあるのか?!」
と、更に己の苛立ちを友人にぶつけてしまったビエール・トンミー氏は、己を嫌悪した。しかし…
「ああ、それはないなあ。ボクは、阿部寛でも安倍晋三でもないからなあ」
と、エヴァンジェリスト氏は、惚けた返し、というか、訳の分ったような分らないような返しをしてきた。
「はああ?『テルマエ・ロマエ』のつもりから、単なる『アベ』つながりなんて、芸がないぞ」
友人の惚けを聞いてしまったビエール・トンミー氏は、己を嫌悪したことを後悔した。そして、温室遺構の先の方を指差してエヴァンジェリスト氏がしてきた質問に、更に、友人に対して、殺意のようなものさえ感じることとなった。
「お!なんだ、あれは?あの小屋は?」
(続く)
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