(治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その45]の続き)
「ジェームズ・ボンドに似てますね。ウフっ」
ビエール・トンミー氏は、『みさを』と行った江ノ島の『シーキャンドル』の展望デッキで、頼まれて写真を撮ってやった二人連れの若い女性の一人に、そう云われ、赤面したのであった。
「(『ジェームズ・ボンド』って、架空の人物なんだけどなあ)」
とは思うものの、宇部に住んでいた小学生の頃、『琴芝のジェームズ・ボンド』と呼ばれていたので、驚きはしなかった。
「(つまり、ショーン・コネリーに似ているってことなんだろうけど)」
と、その女性の意を汲んでいると、
「仲雅美にも似てるう」
もう一人の若い女性も、ビエール・トンミー氏の顔を覗き込むようにして、当時の人気俳優の名前を口にした。
「そうかなあ」
と、頭を掻いていると、
「痛ーっ!」
ビエール・トンミー氏の臀部に痛みが走った。
「んもー!」
『みさを』に抓られていたのだ。
「あら、彼女、似てるわあ!ねえ?」
ビエール・トンミー氏の背後で拗ねる『みさを』を見た二人連れの若い女性の一人が、連れの女性に同意を求めた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿