(治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その46]の続き)
「ええ、似てるわあ!」
江ノ島の『シーキャンドル』の展望デッキで、ビエール・トンミー氏に写真を撮ってもらった二人連れの若い女性たちが、ビエール・トンミー氏といた『みさを』を見て、驚きの声を上げたのであった。
「でしょう?」
ビエール・トンミー氏は、そっぽを向いている『みさを』の顔をあらためて見た。
「常盤貴子に似てるって、云われません?」
と、二人連れの若い女性たち云われた『みさを』は、それには答えず、彼女たちに完全に背を向けた。
「トキワ?トキワタカコ?」
ビエール・トンミー氏は、『常盤貴子』を知らなかった。当時も今も、ビエール・トンミー氏は、芸能界に疎いのだ。しかし、そんな彼でも、その時、『常盤貴子』を知らないのは無理がなかったのだが…
「(常盤御前?...じゃないよなあ)」
と見当外れのことを思っていると、二人連れの若い女性たちの一人が、『みさを』に近付き、背を向ける『みさを』を回り込むようにして、その顔を覗き込み、驚きに口に手を当て、云った。
「ひょっとして、本当に常盤貴子?本物の常盤貴子さんですかあ!?」
もう一人の女性も『みさを』の顔を見て、叫んだ。
「きゃーっ、常盤貴子!サインしてもらえますかあ?」
女性たちは、ハンドバッグを開け、サインしてもらえそうな紙か何かを探し始めた。
(続く)
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