2020年9月14日月曜日

治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その115]






「へっ!?」

鎌倉大仏に向かう狭い歩道で、ビエール・トンミー氏は、お尻から『ダイ』を漏らしはしなかったが、口から『ヘ』を出してしまった。日本三大仏は何かを友人のエヴァンジェリスト氏に問われ、奈良の大仏、鎌倉の大仏の他に牛久大仏と答えたが、友人に『デカければ、日本三大仏になれるのか?』と問われたのだ。

「奈良の大仏や鎌倉の大仏よりもっと大きい大仏は幾つもあると思うがなあ」

と、エヴァンジェリスト氏は、下顎を少し上げ、したり顔で周囲を見回した。

「うっ…」

ビエール・トンミー氏が、言葉に詰まると、エヴァンジェリスト氏は、訳の分ったような、分からぬようなことを云ってきた。

「それに、アイツ、立ってるだろう」
「アイツ?」
「ウシくんだ」
「そんな云い方、バチが当たるぞ」
「親しみを込めた云い方のどこがいけないんだ」
「君は、牛久大仏と親しいのか?」
「親しくはないが、ただデカい、高いではなあ。それも、坐像ではなく立像でだものなあ。君は、座高と身長とを比較するか?」




「じゃあ、どこの大仏なんだ、3番目の大仏は?」
「ふふん、知りたいか?」
「勿体を付けるな!」


(続く)

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