「それにしても、仏様のお尻にベロだなんてお下劣だなあ」
鎌倉大仏の台座の後ろの部分を見ながら、エヴァンジェリスト氏は、顔を顰めた。
「お下劣なのは、君の方だ!」
ビエール・トンミー氏は、ムキになって友人を批難した。無性に腹が立っていた。
「いいか、これはなあ、『ベロ』なんかじゃないぞ」
ビエール・トンミー氏が、鎌倉大仏の台座の後ろに4つ付いたものの解説を始めた。
「これは、『蓮弁』だ。ハスの花弁なんだ。仏像の台座にはよく蓮の花が付いているだろう。蓮は、仏のシンボル的な花なんだ。極楽には蓮の花が咲いていると云われているし、蓮はなあ、泥の中にあっても美しい花を咲かせる、というような宗教的な、仏教的な意味合いも持っているんだ」
と、解説しながら、déjà-vu(デジャヴュ)な感覚に襲われた。
「ビーちゃんって、ホント、スッゴイ博識だね」
そうだ。『みさを』と来た時にも、同じ説明をしたのだ。
「よ、『博識大先生』!」
エヴァンジェリスト氏が、拍手をしながら、言葉を続けた。
「でも、何故、4枚しかないんだ?」
(続く)
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