2020年9月26日土曜日

治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その127]

 


治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その126]の続き)



「それにしても、仏様のお尻にベロだなんてお下劣だなあ」


鎌倉大仏の台座の後ろの部分を見ながら、エヴァンジェリスト氏は、顔を顰めた。


「お下劣なのは、君の方だ!」


ビエール・トンミー氏は、ムキになって友人を批難した。無性に腹が立っていた。


「いいか、これはなあ、『ベロ』なんかじゃないぞ」


ビエール・トンミー氏が、鎌倉大仏の台座の後ろに4つ付いたものの解説を始めた。


「これは、『蓮弁』だ。ハスの花弁なんだ。仏像の台座にはよく蓮の花が付いているだろう。蓮は、仏のシンボル的な花なんだ。極楽には蓮の花が咲いていると云われているし、蓮はなあ、泥の中にあっても美しい花を咲かせる、というような宗教的な、仏教的な意味合いも持っているんだ」




と、解説しながら、déjà-vu(デジャヴュ)な感覚に襲われた。


「ビーちゃんって、ホント、スッゴイ博識だね」


そうだ。『みさを』と来た時にも、同じ説明をしたのだ。


「よ、『博識大先生』!」


エヴァンジェリスト氏が、拍手をしながら、言葉を続けた。


「でも、何故、4枚しかないんだ?」



(続く)




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