2020年9月24日木曜日

治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その125]



治療の旅【江ノ島/鎌倉・編】[その124]の続き)



「大仏様って、ビーちゃんに似てるね」


鎌倉大仏を見上げた『みさを』は、そう云ったのだ。


「………」


『みさを』の言葉の意味を測りかね、ビエール・トンミー氏は、『みさを』の横顔をただ見ていた。


「おっきくって、優しくって、包んでくれる…聖らか、だね」


大仏を見上げる『みさを』は、手を合わせても組んでもいなかったが、拝んでいるように見えた。


「(いや…ボクは、聖らかではない…ボクは、ボクは今、君の…)」




ビエール・トンミー氏は、『みさを』の唇を凝視め、股間に『異変』が生じ始めていることを自覚した。しかし、その唇から、


「でも、アタシは、汚れてる」


という言葉が出、ビエール・トンミー氏は、また、思わず、


「え?」


と間抜けた声を出してしまったが、すぐに言葉を続けた。


「いや、君はキレイだよ」


それは、正直な気持ちだったが、『みさを』は、


「ダメだよ、アタシなんか。アタシなんか、包んじゃダメだよ」


と云うと、ビエール・トンミー氏に背を向け、鎌倉大仏の背の方に回って行った。



(続く)




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