「大仏様って、ビーちゃんに似てるね」
鎌倉大仏を見上げた『みさを』は、そう云ったのだ。
「………」
『みさを』の言葉の意味を測りかね、ビエール・トンミー氏は、『みさを』の横顔をただ見ていた。
「おっきくって、優しくって、包んでくれる…聖らか、だね」
大仏を見上げる『みさを』は、手を合わせても組んでもいなかったが、拝んでいるように見えた。
「(いや…ボクは、聖らかではない…ボクは、ボクは今、君の…)」
ビエール・トンミー氏は、『みさを』の唇を凝視め、股間に『異変』が生じ始めていることを自覚した。しかし、その唇から、
「でも、アタシは、汚れてる」
という言葉が出、ビエール・トンミー氏は、また、思わず、
「え?」
と間抜けた声を出してしまったが、すぐに言葉を続けた。
「いや、君はキレイだよ」
それは、正直な気持ちだったが、『みさを』は、
「ダメだよ、アタシなんか。アタシなんか、包んじゃダメだよ」
と云うと、ビエール・トンミー氏に背を向け、鎌倉大仏の背の方に回って行った。
(続く)
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