「で、あの背中だろ?」
鎌倉大仏のある高徳院の入口にいるのに、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏に高岡大仏を語ろうとしていた。
「高岡大仏だな?」
というビエール・トンミー氏の方をエヴァンジェリスト氏は、見ることなく、
「君もやはり驚いたのか?あんな路地であんなものを見ることになるなんて思いもしないものな」
と、富山県高岡市の『大佛旅館』のある住宅街の路地に突如、出現した大きな背中を虚空に見ていた。
「で、その先に児童公園だろ?」
「はあ?児童公園?」
「そう、最初は児童公園だと思ったんだ。で、どうして児童公園に大仏があるのか、ってね。どう見ても大仏だが、本当に大仏か、ってね」
「児童公園ではなく、境内だったんだな」
「そうかあ、君も行ったことがあるから知っているんだな」
「いや、話の流れから分るだろ」
「で、境内に入り、正面から見ると、やはり立派な大仏だったが、それよりも驚いたのが、大仏前にある説明書きだ」
「そこに日本三大仏、とあったんだな」
「君も『みさこ』とあれを読んだか?あ、いや、『みさを』か?」
「しつこいなあ」
(続く)
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