「(何かしら?)」
『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、『原宿の凶器』の正体を知りたくなった。
「(……んん?)」
マダム・トンミーは、右手を伸ばした。『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏と、舌と舌とで、ある時は『ナメクジ』のように粘液で絡み合い、ある時は『ヒル』のようにキューっと強く吸い合い、という『プロレス』をしながらであった。
「(これ?....)」
マダム・トンミーの右手は、ビエール・トンミー氏の下半身に伸びていた。そこに『原宿の凶器』があるはずなのだ。
「(ピストル?)」
ビエール・トンミー氏のズボンの上から、そこにあるものを、マダム・トンミーの右手は、『ピストル』だと思った。それまで、ピストルを触ったことはなかったが。
「(硬い!)」
大きめな『ピストル』だと感じた。でも、
「(熱い!)」
ピストルは、冷たいものと思っていたが、それは、既に硝煙反応を起こしている『ピストル』のように思えた。
「(プロレスに、『ピストル』を持ち込むなんて!)」
さすがにやり過ぎだと思ったが、
「でも、あの時、アリのセコンドには、ピストルを持った者もいたみたいだし…」
『あの時』とは、1976年6月26日のことだ。そうだ、伝説の『アントニオ猪木 vs モハメッド・アリ』戦である。あの異種格闘技戦で、アリのセコンドには、正確には『ピストル』ではなく、ペンのような形をした弾丸が出るものを持っていた者もいたらしいのだ。
(続く)
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