( 【新春緊急公開質問状への回答】エヴァンジェリスト氏に起きたこと。[中編]の続き)
「あああ、面倒臭いなあ。エヴァの奴が顔面を怪我したのは、自転車で転倒したからだ。『スーパー・マン』として….ああ、いいか、『スーパーマン』ではないぞ。スーパーのカートやカゴの整理をする男『スーパー・マン』としての任務を終え、自転車で帰宅途中、2020年12月24日の14:30頃、自宅近くのコンビニの横で転倒したんだ。で、見事、顔面を自転車のハンドルか地面か知らんが、ぶつけ、負傷した、ただそれだけのことだ」
2021年1月1日朝(そう、元旦だ)、左手で股間に当て、右手でiPhone X を持ったまま、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏の怪我について、一気にまくし立てた。。
「え?どうして転倒したのか、だって?ああ、アイツは、『プロの旅人』で今連載中の『バスローブの男』を読んでいるから、自転車に乗りながら、ワシとワシの家内との『ナメクジ』プロレスでも想像して、股間に『異変』が生じ、その瞬間、バランスを崩しでもしたんだろうよ」
と、『ナメクジ』プロレスのことに触れただけで、自らの股間にも少しく『異変』が生じ、左手で『位置』を直した。
「もういいだろう、エヴァのことなんか。ワシはもう一眠りする。…は?写真に?」
ビエール・トンミー氏は、もう一度、iPhone X の画面に眼を遣った。
「ああ、アイツが転倒した時の写真だな。これがどうした?ワシの云う通りじゃないか。ほーら、やっぱり『ナメクジ』プロレスを想像しているだろ」
と、iPhone X をベッド・サイドに置こうとしたが…
「ええ!?黒タイツ?黒タイツの男?上半身裸?」
エヴァンジェリスト氏が転倒した時の写真の端に、黒タイツで上半身裸の男(?)の体半分が映り込んでいる。
「ああ…何かいるなあ。…え?ええ?ワシ?...知らん、知らん!ワシは、あそこにいた訳じゃないからな」
動揺している。
「あそこ?...ああ、エヴァが転倒した所だろうが。え?そこに居合わせたような云い方だって?穿ち過ぎだ。ええ、ええ?倒れた時の状況、原因に詳しすぎる?そりゃ、エヴァとは友だちだからな。もういいだろう。もう一眠りするから放っておいてくれ」
と、今度こそ、iPhone X をベッド・サイドに置こうとしたが…
「な、な、なんだ!?似てる?ええ?!黒タイツの男の脚の彎曲具合の貧相さが、ワシの脚に似てる?し、し、失礼だな!」
と云いながら、iPhone X の画面に表示されたままとなっているエヴァンジェリスト氏が転倒した時の写真の端に遣る眼は、動揺を隠せない。
「わ、わ、わ、わ…ワシではない!ああ、もういい!これ以上は、事務所を通してくれ!」
と叫ぶと、ビエール・トンミー氏は、布団の中に頭から潜り込んだが、
「うぶっ!」
そこに充満した自らの『臭い』に、噎せた。
(おしまい)
0 件のコメント:
コメントを投稿