2021年1月21日木曜日

バスローブの男[その80]

 



「(ああ、昨夜の『戦い』…」)


『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、片肘をつき、シーツからむき出しの両肩を見せたまま、『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、ビエール・トンミー氏から『昨夜は、有難う。とても良かったよ、君!』と云われた、前夜の彼との『プロレス』を思い出した。


「(壮絶な『戦い』だったわ…)」


マダム・トンミーの舌に、『ナメクジ』や『ヒル』の感覚が蘇る。鼻は、『獣臭』が突き上げてくる感覚に襲われる。


「君が、あんなに凄いとはねえ」


白いガウンを着た、いや、白いバスローブを身につけたビエール・トンミー氏が、円形ベッドの横に立ち、感嘆の言葉を漏らした。


「(え?私、そんなに強かったかしら?ええ、精一杯頑張ったけれど)」


と思いながら、ビエール・トンミー氏の胸元に眼がいった時であった。




「(んぐっ!)」


マダム・トンミーは、何かお漏らしをするような感覚に襲われ、シーツの中で両脚を再び窄めた。



(続く)




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