「(『名勝負数え唄』も、今は昔だわ…)」
風呂場から聞こえる洗濯機の音を聞きながら、『マダム・トンミーとなって久しいマダム・トンミー』は、思った。
「(『原宿の凶器』っていう噂は本当だったけど…)」
と、初めて、その『凶器』を眼にした時の、いや…手にした時の衝撃を思い出す。
「(最初は、ピストルだと思ったんだわ)」
しかし、ピストルにしては大きずぎると感じ(実際にピストルを触ったことはなかったが)、
「(ロケットのようにも思えたけど)」
それが、彼女の手の中で成長し始めたので、
「(まさかツチノコ?って…)」
と、見たことも、触ったこともない未知の生物かと思っていたところ、
「(あの人ったら、『うおー!うおー!』って、ウフッ)」
と、思い出し笑いに、
「(あらっ!?)」
尿意のような、尿意でないようなものを感じ、マダム・トンミーは、両脚を窄めた。
(続く)
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