「(あの人、本当に『凶器』を持っていたわ!)」
『マダム・トンミーとなって久しいマダム・トンミー』は、風呂場から聞こえる洗濯機の音も忘れ、渋谷の『逆さクラゲ』の円形ベッドでの夫との初めて『一戦』を思い出す。
「(秘書室の女性も、広報部の女性も、あの人の『凶器』を見たのかしら…?)」
今更ながら、夫の会社での女性に纏わる噂を思い出す。
「(美人SEと会議室で2人で何してたの!?)」
会社の会議室でこっそり『プロレス』するなんて規律違反、とは思ったものの、自分も夫と会社で『プロレス』してみたかった思いは、自分には隠せない。
「(でも、やっぱりフケツだわ、『お局様』だけは!)」
人事総務部の古株女性社員の通称『お局様』は、専務の『元カノ』だったとも云われ、社長とも『関係』を持ったことがあるとも噂されていたからだ(あくまで噂ではあったが)。
「(お綺麗はお綺麗だったし、あの時、あの人….)」
会社のエレベーター・ホールで、夫(当時は、結婚前で、まだ夫ではなかったがは、『お局様』と話している時、『お局様』の網タイツの脚に眼をやっているのを見たことを思い出した。『お局様』が、夫と話している最中に、手にしていた書類を落とし、上半身を前傾させながら、それを拾う時には、夫が、胸の開いたブラウスを着ている『お局様』の胸の谷間に眼を落とした像も脳裏に浮かぶ。
「(んん、もう!そう、『お局様』、松坂慶子にとっても似てて…ううん。あの人、松坂慶子は大っ嫌い、って云ってるもの)」
確かに、ビエール・トンミー氏は、テレビに松坂慶子が出てくると、チャンネルを変えよう、と云い出すのだった。
「なんだ、あの関西弁は!」
松坂慶子が、NHKの朝ドラ『まんぷく』に出演した時の関西弁がとても関西弁ではない、と怒り、それ以来、松坂慶子嫌いとなったのだ。
「(でも…..あの人、松坂慶子がテレビに出る度に、チャンネルを変えよう、と云いながら、いつも股間に手を当ててる…)」
(続く)
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