「(え!?また『戦い』?!)」
と思うまもなく、『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドに胸も露わに寝そべる『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』の体の上に、『獣臭』が、物理的な重みをもって覆い被さってきた。
「(フライング・ボディープレスうう!..うっ!)」
攻撃を受けながらも、プロレスを愛するマダム・トンミーは、自身がビエール・トンミー氏から受ける技の名前を心中で発した。
「(痛っ…ああ…)」
胸に、針金のような『凶器』胸毛が刺ささり、マダム・トンミーは半目になった。
「(う、ううー!.....臭ーい!)」
もはや、それは、ビエール・トンミー氏の口臭なのか、『獣臭』なのか分からないが、マダム・トンミーは、その悪臭に病みつきになっていた。
「んぐっ!」
もう何ものにもはばからず、マダム・トンミーは、喉の奥から『その音』を発したが、
「んぐっ!んぐっ!んぐっ!うおおおおおおおー!んぐっ!んぐっ!んぐっ!」
彼女の『音』を超える、もはや『音』なのか『咆哮』なのか分からぬものをビエール・トンミー氏が発した。マダム・トンミーは、知らなかった。自分もまた『獣臭』を発し、それが、ビエール・トンミー氏を『獣』を超えた『怪獣』と化したことを。
(続く)
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