2021年8月6日金曜日

【ビエール先生の『クラス』講座】Eクラスな男・NGクラスな男[その172]

 


<注意>

ビエール・トンミー先生のiMessageによるベンツの『クラス講座』は、ベンツの幾つかの『クラス』に対して、またそのオーナーに対して、辛辣過ぎる評価があるかもしれないが、決して、それらのベンツ、のオーナーを侮辱、差別をするものではない。


西洋美術史としてのビエール・トンミー先生の審美眼と、ハンカチ大学商学部卒の、しかも、SNCFの大家としてのビエール・トンミー先生のビジネス・センスとから、あくまで個人としての評価を述べるものである。


長年のベンツ・オーナーであるビエール・トンミー先生は、総ての『クラス』のベンツとそのオーナーを愛している。ベンツは、『評価』をするに値するクルマなのだ。『評価』をするに値しないモノについては、ビエール・トンミー先生は、言葉一つ吐くことはない。


ビエール・トンミー先生は、時に、ベンツ以外のクルマについても忌憚なき発言をされる(あくまで個人としての評価だ)。この場合も、その対象が『評価』をするに値するクルマだからである。



[『初めて』を捧げたビートル(続き11)]



「『海幸彦・山幸彦』って?」


と云う生徒エヴァンジェリスト氏のiMessageの『?』は、実際よりも大きく見えた。ビエール・トンミー先生の生徒エヴァンジェリスト氏に対するiMessageによるベンツの講義は、ビエール・トンミー先生が最初に乗っていたクルマであり、お気に入りであった『ビートル』関するものとなっていたが、何故か、先生は、神話を持ち出してきたのだ。


「高校一年の時やがな。地理の授業や、覚えてへんのか?」

「ああ、広島皆実高校で先生と私とが同じ1年7ホームの生徒だった時ですね。ええ、覚えてます。地理の先生が黒板に書いたものをひたすらノートに書き写さされていた授業ですね」

「『カイジツ高校』ちゅうんは知らんけど、せや、地理の説明を聞いた覚えはあらへん。黙々と書き写しとったんや。先生は楽やで。もう何年も前に作ったノートの内容を、毎年、黒板に書くだけなんやからな。でも、その途中に、あの先生が云うたやろ、『おい、エヴァンジェリスト、<海幸彦・山幸彦>の話をしてみい』てな」

「ああ、そうでした。どうして、地理の授業で『海幸彦・山幸彦』が出てくるのか分りませんでした。そもそも、『海幸彦・山幸彦』がどんな話なのかも、もう覚えてません」

「覚える必要なんか感じへんかったしな。でもな、『海幸彦・山幸彦』は、『浦島太郎』のモデルやとも云われとるみたいなんやで」

「へえ、そうなんですかあ。そう云えば、思いますに、自分の人生もなんだか『浦島太郎』な感じです」

「どないしたんや、しじみしとるやないけ」

「子ども時代があり、次に学生の時代があり、特に、多感であった高校、大学の時代は、先生と一緒に過ごし、でも、その後に、先生と私はそれぞれ別に、社会人、結婚、会社の退職の時代が続き、会社を退職する頃からまた先生と共にご一緒するようになった時には、そう、先生も私も、まさに『共白髪』な風貌となっていました。まるで、『浦島太郎』な感じではありませんか」

「アンタのオゲレツな中身は一向に変っていいへんがな」

「私が『浦島太郎』なら、先生は、さしづめ、『浦島太郎』を乗せた『亀』でしょうか」




「また、オゲレツに話を持ってこうとしとるな」

「だって、先生はいつもご自分のことを『カメアタマ』と称していらっしゃるではありませんか」

「もう止めえて云うたやろ、オゲレツは」

「だって、先生が、『海幸彦・山幸彦』の話をされたからですよ。そうだ、『ビートル』と『海幸彦・山幸彦』とに何の関係があるんですか?」

「なーんにもあらへんで。地理の授業と『海幸彦・山幸彦』とが関係あらへんかったんとおんなじや」

「だから『ビートル』の講義の途中に突然、『海幸彦・山幸彦』を持ち出した、と云うのは、詭弁だと思います」

「詭弁やあらへん。アンタが、ワテがアメリカの西海岸の流行の影響を受けて『ビートル』を買うようになった話は、もう聞いたことある云うたからや」

「え?確かに、そう申しましたが、でも、先生の仰る意味が分りません」

「『海幸彦・山幸彦』も、地理の授業で何度も話させられたやろ。せやから、西海岸の影響の話が何回も出てくるんも、『海幸彦・山幸彦』とおんなじやで、ちゅう意味やねん」

「先生って、面倒臭いお方ですね、では、私も負けずに繰り返します。『今のは』と先生が仰る『ニュービートル』は、正確には、『ニュービートル』も『ザ・ビートル』も合わせてなんですよね?どっちも、元々の『ビートル』からしたら『ニュー』で、マガイモンだ、ということなんですよね?」



(続く)




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