「(それにしても、相変らず妙な奴だ。iMessageのやり取りで、沈黙をわざわざ『……』で表現することもないだろうに)」
と、ビエール・トンミー氏が、友人エヴァンジェリスト氏が妙な人間であることは重々承知しているのに、未だ驚かされることに呆れていた時、その沈黙を破るiMessageがエヴァンジェリスト氏から「届いた。
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「ワシが両親に対して『罪』を犯したとしたら、アンタもアンタの妹さんも『同罪』じゃ。ワシに加担したんじゃけえね」
「ぬ……やが、首謀者は、あくまでアンタや。いっちゃん悪いんは、首謀者や。それも、実の親を騙したんや。ご両親は、真実を知ることものう亡くなられたんや。アンタにはもう、『罪』を贖う機会もないんや。酷いやっちゃ」
「ワシを『悪党』みたいに云いんさんなや」
「またまたアホンダラあ!誰が、アンタを『楠木正成』と一緒にするかいな」
「へ!?!ワシのことを『悪党』じゃない云うても、『楠(クスノキ)』先生のことを悪う云うんはいけんでえ」
「け?『楠(クスノキ)』先生?誰や、それ?」
「『楠忠之』先生のことよおね。広島市立翠町中学校で社会を教えてくれた先生じゃけえ。アンタあ、ウチの親とおんなじようなこと云うんじゃね?」
「は?ははあ?」
「ウチの親は、『楠忠之』先生のことだけじゃなかったが、『日教組』とか『共産党』が嫌いじゃったけえ」
「その『楠』先生は、『日教組』で『共産党』やったんか?」
「『楠忠之』先生は、後に、『共産党』から広島県議会議員になられたみたいじゃ。もう亡くなられたみたいじゃがのお。ワシは、『日教組』でも『共産党』でもないが、ワシが教えてもろうた先生のことを『悪党』じゃあと、悪う云うんは、止めてえや」
「あんな、『悪党』ちゅうんは、本来は、ちゅうか、中世では、幕府とか朝廷なんかに従わん人間のことを云うたんや。『悪者』とはちゃうてたんや。あ!アンタかて、知ってたはずや。アンタ、BS-TBSの『関口宏の一番新しい中世史』を見てるんやろ?そやったら、あの番組の中で、『加来耕三』はんが、『楠木正成』に関連して、『悪党』のことを説明してたはずや。アンタ、また話をはぐらかそうとしたんやな。そもそも、ワテが云うてんのは、『楠木正成』のことで、『楠忠之』とは全然、ちゃうやないけ!」
「アンタあ、『楠忠之』先生のことを『楠忠之』と呼び捨てにするんはいけんよ」
「『悪党』が悪者のことじゃないの知っといて、態と『悪党』いう言葉使うて、『楠木正成』やら『楠ナンチャラ』先生のことに話を持って行って、自分の『罪』を誤魔化そうとしたんやな!」
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「(そうだ。アイツは、オゲレツだが、高校の時から、頭は良かったんだ、ボクの次だけど)」
と、ビエール・トンミー氏は、今から(2023年から)53年前(1970年)、広島皆実高校1年7ホームで初めて、後に友人となるエヴァンジェリスト氏に会った時の衝撃を思い出す。
(続く)
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