「(ああ、また、『乗って、乗って、乗りまくって』みたいもんなんだが…)」
と、淋しさを頬に浮かべ、ビエール・トンミー氏は、自らの股間に視線を落とした時、友人のエヴァンジェリスト氏から抗議のiMessageが届いた。
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「そりゃ、ワシが、『etc.』云うたのに、アンタが、『ETC』云うて、クルマの話をしてきたからじゃないねえ」
「ああ、そや、そや。そもそも、なんで『etc.』なんや?」
「アンタが、『源平藤橘』の中で、『橘高』君だけを、その他(etc.)扱いしてきたからじゃないねえ」
「ああ、『橘』やな。まあ、『源氏』、『平氏』、『藤原』に比べたら、『橘』は、パッとせんいうか、あんまし有名やないやろ」
「『橘高』君は、凛々しい男の子じゃったけどのお」
「もう『橘高』君はエエ。でも、『橘高』君は凛々しい男の子じゃった、とアンタ云うたが、『橘』って何か、アンタ、知ってんのか?」
「へ?」
「ちゃう、『屁』やないで」
「クダラン言葉遊びはやめんさい」
「『柑橘類』は知っとるやろ?」
「おお、勿論、知っとるで。ワシ、みかんも好きじゃけど、シークワーサーのジュースが好きで、沖縄に出張したら、いっつも飲んどったんよ。それにのお、うふっ」
「なんや、気色悪いで」
「社会人になった頃のお、資生堂のBRAVASのオーデコロン付けとったんよ。柑橘系のエエ匂いじゃったんよ。その頃、アンタとはあんまり会っとらんかったけえ、あの柑橘系の匂い嗅いどらんかったじゃろう。嗅いどったら、アンタ、ワシにイチコロになったかもしれんよ」
「ウゲーっ!」
「上半身裸になって、柑橘系のBRAVASを胸にパンパンーっ、と打ち付けとったんよ。どうねえ?男らしいじゃろう?クラクラするじゃろう?」
「ああ、想像させられただけでも気色悪うて、クラクラするで」
「ワシに惚れんさんなよ。アンタとは、友だちのままでいたいけえ」
「アンタ、オゲレツ通り越して、グログロやでえ」
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「(アイツ、云うにこと欠いて、ホント、気っ色悪いこと云ってきやがる)」
と、ビエール・トンミー氏は、寒気を感じたかのように、両腕で自らの体を抱き、身を震わせた。
(続く)
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