「(こっちが折角、為になる話をしてやろうとしていたのに、『モーツァルト』 か『モーツアルト』かと、どうでもいいようなことを云い出し、ボクが忘れたい時代のことを無理矢理に思い出させやがって!)」
というビエール・トンミー氏の収まらない怒りを増幅させるIMessageが友人エヴァンジェリスト氏から届いた。
====================================
「オモロイこというんは、『逃亡浪人』のことなん?」
「もうその話はエエ!オモロイこというんは、名前の研究の成果や、と云うたやろが」
「『住込み浪人』もセンスのええネーミングじゃったけど、『逃亡浪人』もそれに負けんなかなかのネーミングじゃあ思うで。『住込み』とか『逃亡』とか、『浪人』いう言葉とは本来、結びつかん言葉を持ってくるんは、アンタ、天才的じゃあ」
「もう『住込み浪人』も『逃亡浪人』もエエ。ワテが研究しとる『名前』は、『話』のタイトルとか『人物』のキャッチフレーズなんかのネーミングやあらへん。人の『名前』そのもんなんや」
「あのお….ワシの名前のことは触れんでくれるかのお…」
「心配せんでええ。『エヴァンジェリスト』いう名前が、『氏名』の『氏』の方なんか『名』の方なんかとか、せやなかったら、『エヴァンジェリスト』のどこまでが『氏』でどこからが『名』かとか、云わへん。日本人らしゅうない名前じゃ、とも云わへんさかい、安心しいや」
「アンタ、性格悪いのお」
「それ、アンタに云われとうないで。まあ、エエわ。ワテが名前の研究始めたんは、真面目に日本史を学んでて、今、鎌倉時代にはまったからや、云うたやろ」
「はまったんが、肥溜めじゃのうて、よかったのお」
「また話を混ぜ返してくんやなあ。肥溜めなんか、今時、あらへんで。あったら、アンタ、はまってエエから、聞きいな。『平清盛』、『源頼朝』、『藤原道長』、コレを声を出して読んでミイ。みんな『の』が付くやろ。今度は、『北条時政』、『足利尊氏』、『徳川家康』や。コレを声を出して読んでミイ。みんな『の』が付かんやろ」
「ほうじゃ『の』」
「ふん!その『の』は要らへん。『の』が付かん名前が出て来たんは、鎌倉期からや。これは読み癖ではないで。何でや?『源平藤橘』(げんぺいとうきつ)ちゅう用語があるねん」
「ひゃあーっ!」
「な、な、なんやあ!????」
====================================
「(アイツ、本当に不思議な奴だ。文字のメッセージなのに、まるで音声メッセージで叫んだように思わせてくる)」
と、ビエール・トンミー氏は、今更ながら、50年来の友人エヴァンジェリスト氏の奇怪さに驚いた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿