「(だけど、屈辱だ。いつもクダランことばかり云うアイツに、こっちのクダラナさを指摘されるなんて。でも、アイツ、態と『congés payés』(コンジェ・ペイエ)なんてこっちが分らない言葉を持ち出して、混乱させようとしたんだ!)」
と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏の罠にまんまとかかってしまったことに忸怩たる思いを抱いていると、そのエヴァンジェリスト氏から、更に侮辱するようなiMessageが届いた。
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「問題は、『Vacation』のことなんじゃけえ、ちゃんと聞きんさいや。ええね。フランスでは、病気では『有給休暇』をとらんのよ」
「ほな、病気になったら、どないすんのや?」
「そりゃ、熱が高うたり、体がきつかったりしたら、会社を休むんよおね」
「『有給休暇』をとらんで休むんは、欠勤で『無給休暇』になるんか?」
「フランスじゃと、病気で休むんを『有給休暇』に当てるんは、法律で禁止されとるんじゃと。その意味では『無給休暇』になるんじゃろうけど、病気で会社を休む時は、医者から証明書を出してもろうて、それを会社と社会保険事務所に提出すると、給与保証があるんじゃと」
「え!なんじゃと!それ、エエやないか」
「アンタ、仮病使うて、なんぼでも会社を休もう思うたんじゃろ?アンタ、『詐欺師』じゃけえね。これまで、オナゴをようけえ騙してきとるじゃろ?」
「何、云うねん。勝手にワテに惚れたオナゴはぎょうさんおったんは事実やけどな」
「アンタ、奥様も騙しとるじゃないね。奥様、アンタが『変態』なんは知らんのんじゃろ?」
「家内は確かに、ワテが『変態』なんは知らへん。けど、騙し取りはせんのや。ワテは、『変態』やけど、一方、紳士でもあるねん。家内は、ワテの紳士な面だけ知ってんのや」
「ああ、『あの時』も『変態』な面は出さないんですね」
「やめれ、『あの時』やなんて、オゲレツなこと云うやないで」
「『あの時』は、『変態』ではなく『野獣』にはなるんでしょう!?そう、『野獣紳士』なんですね!」
「やめれ、云うてるやろ!」
「でも、結果として、アンタあ、奥様を騙しとるじゃないねえ。病欠で『有給休暇』使わんでよかったら、アンタ、仮病使い放題じゃったんじゃろう」
「あんな、病気をきちっと直すんには、そりゃ、一定期間しっかり休まんといけんやろ。せやないと、病気がぶり返して、また休むことになって、会社いうか部下や同僚に迷惑かけるさかいなあ」
「でものお、給与保証があるんは、病欠の4日目以降らしいんよ。それに、全額じゃあないそうなんじゃ」
「はああ?病欠の4日目以降なんか?じゃたら、風邪で1日、2日、休む時は、給料が出んで困るやないか!」
「企業によっちゃあ、給与保証のない3日間分は、給料を出すところもあるみたいなんじゃが、問題は、そこじゃないんよ。フランスじゃあ、病気では『有給休暇』をとらんいうか、とっちゃいけん、いうことなんよ。ワシ、サラリーマン時代の最後の方、会社が政府から、有給取得率を上げるように云われて、半強制的に、指定の期間にある日数の『有給休暇』とれ、云われてハブテたんよ」
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「(そう云えば、会社から『有給休暇』の消化をしつこく云われていたなあ)」
と、ビエール・トンミー氏は、もう10年も前に退職した会社のことを思い出した。
(続く)
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