「(話を茶化して、どんどん関係ない方向に持って行ったのはアイツの方ななのに、そのアイツに、話を遡ってみせられるなんて!)」
と思うビエール・トンミー氏の頭の中に、川を遡上する魚となった友人のエヴァンジェリスト氏が不敵な笑みを自分の方に向けている姿が浮かんだ時に届いたその不敵な笑みの主からの次のiMessageで、ようやくビエール・トンミー氏は、自らの志向の原点に戻れることになるのであった。
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「アンタ、なんで、和菓子の元祖が、『橘』じゃあ、云うてきたん?」
「あ、そうや!そうなんや!『橘』いう『氏』は、女帝から女官に賜下されたもんなんや」
「女の子同士で、お菓子のやり取りしたんじゃね」
「またそうやって同じこと云うて、話を混ぜ返そうとしても、そうはいかへんで。ええか、『元明天皇』はんいうオナゴの天皇と、『三千代』ちゅう、ようできた女官がおったんや。『三千代』はんは、美人で頭もええ女官やったさかい、『元明天皇』は、『三千代』はんに『橘』の『氏』を賜下したんや」
「ああ、『三千代』さんは、美人でようできた人じゃったズラ」
「なんや、そのとってつけたような『ズラ』いうんは?」
「なんねえ!なんぼ友だちじゃあ云うても、失礼じゃないねえ!」
「なんが失礼なんや?」
「ワシ、確かに頭髪は薄うなっとるが、『ズラ』はつけとらんズラ」
「せやさかい、なんや、そのとってつけたような『ズラ』いうんは?」
「じゃけえ、ワシ、『ズラ』はつけとらんズラ」
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「(ああ、アイツ、またボケをかましてきたな。ホント、疲れる奴だ)」
と、ビエール・トンミー氏は、鼻から溜息を漏らした。
(続く)
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