「(アイツ、ボクが『ジュリアン』さんの名前を出してきた、と云って、その前提で論を進めてきているが、そうだ、コチラこそ、そんな論理のすり替えには誤魔化されないぞ!)」
と思ったビエール・トンミー氏は、唇の両端をキュッと横に引き、『への字』を作ると、友人エヴァンジェリスト氏への反撃のiMessageを打ち始めた。
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「アンサン、ワテが『ジュリアン』ちゅうフランス人の名前を出してきたさかい、『ベジエ』いう町の名前を出したあ、云うとるが、ワテは、『ジュリアン』ちゅうフランス人なんか知らへんで。せやさかい、そんな名前をワテは出しとらへんのや」
「いや、アンタ、『ジュリアン』云うたじゃないねえ」
「ワテが云うたんは、『緑寿庵清水』(りょくじゅあんしみず)やで」
「ああ、ワシ、聞き間違えとったあ」
「またや。文字メッセージで『聞き間違え』はないやろ」
「『Patrice JULIEN』さんじゃのうて、『緑ジュリアン』さんじゃったんじゃね。でものお、違うけえ。『ジュリアン』さんの奥さんは、『緑』さんじゃないで。『緑』を『りょく』と読んでも、『みどり』と読んでも、どっちでも違うけえ。『ジュリアン』さんの奥さんは、『Yuri』さんじゃけえ」
「はああ?」
「『Yuri JULIEN』さんは、『Béziers』で、『MASSAGES TRADITIONNELS JAPONAIS』な『Le Salon de Yuri』をやっとってんみたいなんよ」
「何をごちゃごちゃとアルファベット並べとんのや!もうエエ!ホンマ、エエ加減にさらせよ。『緑寿庵清水』(りょくじゅあんしみず)を『緑ジュリアン』と読み間違えるて、強引もホドホドにしいや。『緑寿庵清水』は、『金平糖』の専門店や」
「『ヘイ・ユー、 ホワッチャー・ネーム?』」
「ひゃ?なんやて?」
「『ヘイ・ユー、 ホワッチャー・ネーム?』」
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「(また妙ちくりんなこと云ってきた。アイツ、一体、何を云いたいんだ?頭が痛くなってくる)」
と、ビエール・トンミー氏は、右手で拳を作り、その拳で自らの頭をトントンと叩いた。
(続く)
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