「(こうなったら、『金平糖』の話に持っていくしかない)」
と、ビエール・トンミー氏は、開き直って、友人エヴァンジェリスト氏へのiMessageを打ち始めた。
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「『緑寿庵清水』やな」
「なんねえ、いきなり」
「せやから、『緑寿庵清水』なんや」
「なんで、『ジュリアン』さんが出てくるん?」
「『ジュリアン』さん?」
「『ジュリアン』さんいうたら、『Patrice JULIEN』さんじゃろ?そりゃ、ワシがフランスの企業と一緒に作った団体と『Patrice JULIEN』さんとは関係のうはなかったけどのお」
「誰や、『Patrice JULIEN』て?」
「最初に会った時は、フランス大使館の『attaché』じゃった」
「は?アタ、アタ、アタ…?」
「やめんさい、『三遊亭歌奴』じゃあるまいし、『山のアナアナアナ、アナタもう寝ましょうよ』じゃなんてのお。アンタ、今は奥様に『もう寝ましょうよ』云われても困るんじゃろ?」
「アンサンこそ、やめえな、オゲレツ云うんは。その、フランス大使館の『attaché』てなんや?」
「ああ、アンタ、『SNCF』関係者で、『大使館』関係者じゃないけえ、知らんのんじゃね」
「ああ、せやで。『SNCF』のことなら、分んねんけどな」
「『attaché』(アタシェ)は、外交関係で専門の分野を持つ職種の人のことよ。『アタッシュ・ケース』は、そうような人らが使うとったけえ、そう云われるようになったんよ」
「ああ、ワテも一応、『アタッシュ・ケース』は持っとっとたで。オナゴたちが、『アタッシュ・ケース』持つワテの颯爽たる姿にうっとりしとったもんや」
「『Patrice JULIEN』さんは、日本にあるフランス大使館の文化関係の『attaché』じゃったんよ。で、その後、『東京日仏学院』の副院長になったんよ」
「おお!アンサンが逃亡したとこやな」
(参照:「Oui……present…Oui……present…」【青春の東京日仏学院】)
「逃亡?それ、なんなん?誰のことなん?まあ、での、『Patrice JULIEN』さんは、その後、日本で、レストラン経営をしたり、料理なんかのライフスタイル関係の本を出したりして活躍されたんよ。今は、確か、奥さんの『Yuri』さん(日本人よ)と『Béziers』(ベジエ)におられちょる思うんよ」
「『ベジエ』?」
「フランスの南西部の街よおね。『Patrice JULIEN』さんは、そこで、『L'école des héros by Patrice Julien』をやっとりんさるみたいなんよ」
「は?は?はああ?」
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「(アイツ、フランス人の名前とかフランス語とか、矢鱈出してきやがる。所詮、『東京日仏学院』の『ディクテ』の授業から逃亡した腰抜け野郎のくせに!)」
と、ビエール・トンミー氏は、剥き出しにした歯で、友人エヴァンジェリスト氏への敵意を見せた。
(続く)
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