「(アイツ、どうせ、今度は、『たこ八郎』に引っ掛けたツマランことを云ってくるんだろう)」
と、ビエール・トンミー氏が、身構えたが、友人エヴァンジェリスト氏から来たiMessageは、『ガッツ石松』の『幻の右』のような内容であった。
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「アンタあ、『岡八郎』に引っ掛けて『たこ八郎』なんて、ツマランこと云うて、時間を無駄に使いんさんなや」
「なんやて!アンサンが、それ云うんかあ!」
「あんのお、アンタ、ワシに、『菓子』の『菓』いう漢字見て、なんか思わへんか、云うたじゃろ。じゃけえ、『果実』の『果』に、『クサ』、つまり草冠が付いとる云うとるんよ」
「おお、エエとこ突いてきとるで。『果実』の『果』は、つまりは『果物』なんやが、『菓子』の『菓』も『果物』なんや」
「ほおお、そうなんねえ。『菓子』の『菓』は、『ドリアン』なん?」
「へ?」
「ほおら、『屁』じゃあ、云うんは、やっぱり『ドリアン』なんじゃね?」
「何、云うてんのや?」
「勘違いしんさんなよ。『オスカー・ワイルド』じゃないけえね」
「またいきなり、ケッタイな名前出してきて、『ワイルドだろう?』ちゅうことかいな?」
「そうようにクダランことは云わんけえ。ワシ、『杉良太郎』は大好きじゃけど、『スギちゃん』のことは別にファンじゃないけえ。『迷宮グルメ異郷の駅前食堂』は、やっぱり、『スギちゃん』より、『ひろしです。』の『ひろし』が旅人じゃった方がよかったけえ」
「何云うてんのか、意味不明やが、要するに、『オスカー・ワイルド』がどねしたんや?『オスカー・ワイルド』は、名前くらいは聞いたことがあるけどな」
「『オスカー・ワイルド』いうたら、『ドリアン・グレイの肖像』じゃろ。『オスカー・ワイルド』の唯一の長編小説じゃ」
「おお、その小説の名前も、聞いたことはあるで」
「『ドリアン・グレイ』は、まるでアンタじゃね」
「どういうことや?」
「『ドリアン・グレイ』は、美青年なんよ」
「ああ、そういうことか」
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「(『美少年』とか『美青年』という言葉は、何度も自分にかけられたものだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、自分の部屋にある鏡を敢えて見ることなく、ゆっくりと頷いた。
(続く)
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