「(どうせ、今度は、アンタも『ズラ』をつけているんじゃないか、と反撃してくるつもりだろ)」
と、ビエール・トンミー氏が、友人エヴァンジェリスト氏の失礼な言動を予想したものの、その予想は失礼なまでに裏切られるのであった。
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「アンタも、頭髪がワシと同じで薄うなっとるけど、『ズラ』はつけとらんズラ」
「そやさかい、『ズラ』のことを云うてんのとちゃうねん!」
「何、云うとるん!?アンタあ、さっき、『そのとってつけたような「ズラ」いうんは?』云うたじゃないねえ」
「せや。ワテが云うたんは、『そのとってつけたような「ズラ」いうんは?』や」
「ほうじゃろうズラ」
「やけどや、アンサンは、その『ズラ』から鬘(かつら)の話にずらしてきたんや」
「じゃけえ、ワシ、『ズラ」はつけとらんけえ、つけとらんもんをズラすも何もないズラ」
「あんな、鬘(かつら)を略すんなら『ヅラ』やで」
「おお、アンタともあろうもんがズラ!」
「ええか、鬘は、『かつら』で、古くは『かづら』やさかい、略すんなら『ヅラ』や」
「確かにのう、本来は、『ヅラ』じゃろうけど、現代仮名遣いじゃあ、『ズラ』になるズラ。能の鬘も、『かずら』云うらしいズラ」
「そこんとこは、文学修士はんに言われるとのお。せやけど、ワテは、『鬘(かつら)』のことを云うてへんのや。今も、アンサンが語尾に付けた『ズラ』は、鬘のことやないやろ。やから、それは、なんや、云うてんのや」
「そりゃ、伊豆地方なんかの方言ズラ」
「伊豆はエエとこやけど、なんで伊豆の方言を使うんや?」
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「(伊豆といえば、『鎌倉殿の13人 伊豆の国 大河ドラマ館』だ。もう閉館したはずだが…)」
と、ビエール・トンミー氏は、前年(2022年)の10月9日に妻と行った『大河ドラマ館』を、大好きであった大河ドラマ『鎌倉殿の13人』と共に、懐かしく思い出した。
(続く)
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