「(それにしても、『当り屋』に『さん』付けするなんて、『当り屋』被害に遭った人にとっては、腹立たしいことなのに)」
と、ビエール・トンミー氏が、自らのことではないものの、友人のエヴァンジェリスト氏の物言いに腹立たしさを感じていると、エヴァンジェリスト氏から、まだ『さん』付けしたiMessageが届いた。
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「ああ、『当り屋』さんが、大きい砂糖のお菓子をなんかにぶつけて作ったんじゃのうて、『当り屋』さんが、なんかから、大きい砂糖のお菓子をぶつけられて作られたんが、『金平糖』なんじゃね!」
「もっと訳分らんこと云いよんなあ。なんで、『当り屋』が出てくんのや?」
「じゃってのお、アンタ、『金平糖』は、『当て字』じゃあ云うたじゃないね」
「アンサン、ホンマ、強引にも程ちゅうもんがあるで。『当て字』の『当て』だけで、『当り屋』持ち出してくんとはのお。あんな、『金平糖』は、ドラいうんか釜いうんか分らへんが、斜めにした鍋みたいなモンに、核になるザラメなんかを入れて、そこに糖蜜をかけて、何日もかき混ぜて作るもんなんや。なんかにぶつけて作るもんやあらひんのや」
「ほうなんねえ。その作り方は、ポルトガルの人に教えてもろたん?」
「おお、ようよう、話をそこに戻してきたな。せやねん。『金平糖』は、ポルトガルのお菓子からきたもんなんや。ポルトガルの砂糖菓子『Confeito』(コンフェイト)からきたもんやさかい、『コンフェイト』を漢字に当てて、『金平糖』となったんや。『カステラ』とか『キャラメル』なんかと同じでポルトガル語由来なんや」
「ああ、英語やフランス語の『confection』と同じ語源なんじゃろうねえ。『con』が『共に』云うことで、『fect』が『作る』じゃけえ、なんかとなんかを混ぜて作る、いうような感じなんじゃろうねえ」
「え?ああ、せやな。よう分っとうやないか」
「それにしても、アンタ、ポルトガル語にも詳しいのお。ポルトガルの女(ひと)とも『ふか~い』お付合いをしとったんじゃね」
「そのオゲレツな発想はもうやめへんか」
「その女(ひと)は、『ファド』歌手でもしとった美人さんなん?『アマリア』さんなん?『ベチナ』さんなん?」
「『アマリア』さんとか『ベチナ』さんとかは知らへんが、『ファド』のことは知っとるで。『サウダーデ』やな」
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「(『ファド』は、本当に現地ポルトガルに行って聴いて見たいもんだと思っているんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、テレビでは見たことのあるリスボンの路面電車を思い描いた。
(続く)
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