「(『橘』だ!『橘』のことを説明しようとしていたんだ。それなのに、アイツが、余計なことを色々と…)」
と、ビエール・トンミー氏は、憤慨しながらも、話を本線に戻そうと云うiMessageを友人のエヴァンジェリスト氏に向けて、打ち始めた。
====================================
「魂胆ちゅうもんやあらへんが、『元明天皇』が『県犬養三千代』に『橘』の『氏』を賜下したという説明をしたのは、その説明の通り、『橘』の『氏』の謂れをアンタに教えたろ、思うたんや。『橘』の『氏』を賜下したんは、云うとくけど、『橘』がお菓子で、オナゴ同士でお菓子のやり取りしたんやないんや。『橘』が強うて、しかも、美しいからなんや。『元明天皇』はんは、杯に浮かぶ『橘』を見て、『県犬養三千代』に、こう云うたそうや。『橘は果実の王なり。その枝は霜雪を恐れずして繁茂し、葉は寒暑をしのぎてしもばず。しかも光は珠玉と争い色は金銀と交わりて益々美し。ゆえに橘を氏とせよ。』」
「なんか、ごちゃごちゃと…要するに、『橘』いう『氏』は、『橘高』くんとは関係ないんじゃろ?」
「ああ、あらへん。ある訳ないじゃろ。あ、いや。アンタの友だちの『橘高』くん自身はどうか知らへんけど、『橘高』ちゅう名前は、『橘』が入っとるさかい、『橘』氏に由来しとらんとは限らへんなあ」
「ああ、やっぱり『橘高』くんは、由緒正しい家の出じゃったんじゃね」
「『橘高』くんのことは知らへんが、『橘』氏には、有名な人がおんねん。『楠木正成』や」
「ああ、『悪党』じゃね」
「アンタが云う語感の『悪党』やあらへんが」
「まあ、『楠木正成』は、『ガンダーラ』系なんじゃろうけえ」
「ありゃ、また訳の分らんこと云い出しよったで。『楠木正成』が『ガンダーラ』系て、どないなことやねん?」
「じゃって、『楠木正成』は、『ゴダイゴ天皇』の忠臣じゃったんじゃろ?」
「ふん、『ゴダイゴ』かいな。『ガンダーラ』は、夏目雅子の『西遊記」のエンディングの曲やったな」
「アンタ、勘がええねえ」
「『楠木正成』がホンマに『橘』氏やったかどうかははっきりしーへんみたいなんやが、『後醍醐天皇』の忠臣やったさかい、皇居前に『楠木正成』の像があるんかもしれんしのお。まあ、『橘』氏も立派な家系なんやろな」
「よう分らんけど、アンタ、なんで、『橘』いう『氏』のことをワシに説明するん?」
「そこや。『源平藤橘』や」
====================================
「(ああ、ようやく、『源平藤橘』まで話が戻ってきた。ふうう…)」
と、ビエール・トンミー氏の口からは、自然と息が漏れた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿