「(アイツ、今度は、何でボケをかましてくるつもりだ?)」
と、ビエール・トンミー氏が、警戒心から身を固くすると、友人のエヴァンジェリスト氏からは、意外にもボケではないiMessageが届いた。
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「アンタ、さっきから、『平氏』、『源氏』、『藤原氏』のことしか話せんけど、どうなっとるん?」
「え?」
「『橘高』くんのこと、忘れんさんなや」
「また、『橘高』かいな。ああ、『橘』やな。ワテが悪かった。『平氏』、『源氏』、『藤原氏』に比べると、『橘氏』は、ちと地味やさかい、ついつい抜けてまうんや」
「そりゃ、ちゃんとした会議に比べると、地味なんは分るんじゃが、『橘高』くんのこと、忘れんで欲しいのお」
「またまた訳の分らんこと云いよるな。なんで、会議のことが出てくるんや?」
「じゃって、アンタが、『タチバナシ』云うたけえよ」
「このアホンダラ!こっちが、ちと下手で出たら、またボケか。誰が、『立ち話』のこと話したんや。文字メッセージで聞き間違いすんのは、もう止めれ。も一回、云うで、『氏(うじ)』は、血筋に基づいて世襲されるさかい、一族の名前は、『平氏』、『源氏』、『藤原氏』、『橘氏』になり、『源頼朝』は『源氏』の『頼朝』なんで、『みなもと の よりとも』になるんや。でもや、鎌倉時代から『平氏』と『源氏』をルーツとする武士が増えたさかい『平」や『源』では家の区別がつきにくくなったんや。皆んな『平』のナントカだらけになったんや」
「ほいじゃたら、『ヨリトモ』とか『キヨモリ』にすりゃあ、ええんよね、『イチロー』みたいに」
「また、何、云い出すねん」
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「(ようやくまともな名前の研究の説明をし始めたところだったのにい)」
と、ビエール・トンミー氏は、誰に見られている訳でもなかったが、分り易く唇を突き出し、頬を膨らませ、不満を表してみせた。
(続く)
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