「(ただ、云うにしても、『紅顔の美爺さん』はないだろう。『紅顔』というやや固い表現に『爺さん』という柔らかすぎる表現を付けるのは変だ。どうせなら『紅顔の美老人』、あ、いや、それでは男のことか女のことかはっきりしない。そうだ、『紅顔の美老夫』とでも云えばいいんじゃないのか)」
と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏のような文學士でも文學修士でもないが、その明晰な頭脳故に、友人に負けないくらいの言葉表現に拘りを見せていると、その友人が懲りずにまた、『紅顔の美爺さん』と云う表現を使ったiMessageを送ってきた。
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「アンタあ、『紅顔の美爺さん』じゃけど、『慧眼』にも、安全なところにおる『玉置』さんは危険なところの直ぐ側におるけえ、安全なところにおる、いう表現になる、云うたじゃろ?」
「ああ、そう云うたわな」
「ほうなんよ、『安全地帯』いうたら、路面電車の乗り降りするところのことじゃろ。『安全地帯』はまさに安全じゃけど、その直ぐ側を電車が走るけえ、確かに、危険なところとの隣り合わせなんよ」
「アンサン、何の説明し出すんや?」
「じゃけえ、『玉置』さんは『安全地帯』のメンバーじゃろ?」
「『安全地帯』のメンバーの『玉置』?....ああ、『玉置浩二』かいな!?」
「ほうよねえ。『玉置浩二』のグループ『安全地帯』は、『玉置浩二』の出身地の旭川の路面電車『旭川電気軌道』が関係しとんじゃと」
「え?旭川に路面電車あったかいな?2019年10月15日に旭川に行ったんやが、路面電車なんて見た気せえへんで」
「アンタあ、ホンマにさすがじゃねえ。そうなんよ。今、旭川には路面電車はないんよ。1973年1月1日に、路面電車は廃止になったそうなんよ。じゃけど、『玉置浩二』たちが、グループ作ろうとした頃にはまだ路面で車はあったんよ。グループ『安全地帯』ができたんは、1973年じゃけえ、できた時はもう、路面電車はなくなっとったんかもしれんけど、作ろうとした頃にはまだあったんじゃろう思うんよ」
「まあ、その辺のところは、ワテ、どうでもエエがな」
「での、最初、グループ名は、なんと『インベーダー』じゃったんじゃと!」
「おお、ゲームの『スペース・インベーダー』が出たんは、確か、1978年頃やさかい、時代の先取りかもしれへんな」
「でも、『インベーダー』は、メンバーを増やした1973年の秋に『安全地帯』に名前を変えたんじゃそうじゃ。『旭川電気軌道』の『全然地帯』の標識が『V』みたいなもんで、『Victory』の『V』みたいじゃけえ、そうしたんじゃと」
「え?どういうことや?『インベーダー』は、侵入者、侵略者なのに、その真逆な『安全地帯』ちゅう名前に変えたんかいな?」
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「(ああん?なんで、『安全地帯』のことなんか、真面目に話してんだろう?)」
と、ビエール・トンミー氏は、路面電車の乗り場で、マイクを握って熱唱する歌手の姿を想像し、自らの首を捻った。
(続く)
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