「(いや。あれ?ようやく話が『オクラホマ・ミキサー』を作った人間にまで戻ってきたとは思ったが、問題は、『オクラホマ・ミキサー』を作った人間のことだったか?)」
と、ビエール・トンミー氏の思考が、ミキサーの中で撹拌されたようになっていると、友人のエヴァンジェリスト氏が、それ以上、ビエール・トンミー氏を混乱させず、珍しくその攪拌を止めるようなiMessageを送ってきた。
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「天下の慶應義塾大学理工学部の名誉教授『萩原眞一』君と同じなんよ」
「ああ、『真吉』やのうて『眞吉』がホンマの名前ちゅうことなんやな」
「なんねえ、アンタあ、『眞吉』さんのこと知っとったん?知合いじゃったん?」
「な訳あるかいな。そないなことより、なんで、アンサン、『玉置眞吉』はんのこと話してんのや?」
「そりゃ、決っとるじゃないねえ。オリンピックの新しい種目としての『フォークダンス』は、『マイムマイム』じゃのうて、『玉置眞吉』が作った『オクラホマ・ミキサー』にしたげるけえよね、アンタの為に」
「ワテの為?」
「ほうよねえ。『オクラホマ・ミキサー』は、男子と女子とが、2人で結構、密着するじゃろ」
「おお、せやった思うけど、男子、女子いう云い方、子どもの頃んこと思い出すやないか」
「それも、ただ密着するんじゃのうて、男子が女子の肩越しに女子の手を取るようにするじゃろ。なんか、『お前は、ワシのオナゴじゃ』いうように女子の肩を抱くような感じじゃろ」
「なんや、『お前は、ワシのオナゴじゃ』て、そないな下品な云い方はアカンで。小学生や中学生が、そないなこと云うかいな。でも、確か、そないな踊りやったなあ。なんか思い出してきたで」
「で、『お前は、ワシのオナゴじゃ』いうような感じの時、アンタ、『んぐっ!』したじゃろ?」
「やめれ!ワテ、その『んぐっ!』、大嫌いなんや」
「そう云いながら、股間を抑えとるじゃないね。思い出したんじゃね」
「え?!し、し、知らん!股間なんか抑えとらへん。アンサン、iMessageで見えへんくせに」
「『お前は、ワシのオナゴじゃ』いうような感じになって、女子の頭が鼻先に来ると、エエ匂いがしたじゃろ?」
「あ!」
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「(ああ…急に、鼻腔に、ああ、懐かしい匂いの感覚が蘇ってきたあ!)」
と、ビエール・トンミー氏は、両眼を閉じ、鼻を少し上向け、鼻の先に何かを嗅ぐようにした。
(続く)
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