「『んぐっ!』!あ!」
と、ビエール・トンミー氏が、股間を抑えながら、思わず小さく声を上げた時、友人のエヴァンジェリスト氏が、その様子を見透かしたかのようなiMessageを送ってきた。
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「『あ!』云うて、どしたん?ああ、『んぐっ!』したんじゃね。『んぐっ!』は大嫌いでも、『反応』するもんは仕方ないよねえ」
「そないあオゲレツはことしいへんて!ちょっと『位置』が悪かったけえ、直しただけや」
「ああ、やっぱりアソコに手を持っていっとったんじゃね。どうねえ、オリンピックの新しい種目としての『フォークダンス』は、『んぐっ!』させてくれる『オクラホマ・ミキサー』がエエじゃろ?」
「いや、アソコに手を、て何のことかわからへんが、確かに、『オクラホマ・ミキサー』は魅力的かも知れへん。けどやな、『フォークダンス』は、あかんやろ。競技にならへんで。そりゃ、体操やスケートみたいに、踊り方がええとかもうちょっとやな、とか審判が採点するような競技にはならんことはないやろけど、ワテ、本来、スポーツ競技は、速いか遅いか、強いか弱いか、白黒はっきりつくもんやないとアカン思うねん。人の主観が入るような勝負はアカンと思うんや」
「アンタあ、やっぱり大したもんじゃねえ。アンタの云うこと、一理も二理も三千里もあるのお」
「おっと、三千里やて。その手には乗らへんで。今度は、『母をたずねて三千里』とか云うて、話を南米アルゼンチン辺りに持ってこいうんやろ?」
「いやの、そのつもりじゃあないんじゃけど、『フォークダンス』が競技に向かんのんじゃったら、閉会式で、各国入り乱れた踊りにすりゃあ、エエ思うんよ。世界中の選手で、『オクラホマ・ミキサー』を踊るんよ。勿論、アルゼンチンのオナゴもおるじゃろ。アンタの好きな金髪でスタイル抜群のエエ匂いのするオナゴ選手だけじゃのうて、ラテン系の迫力ある体のオナゴ選手もおるじゃろ。アンタあ、大丈夫かいね?」
「は?何が大丈夫なんや?」
「ラテン系は、そりゃ、『情熱的』じゃろうけえね」
「おお、『情熱的』なんかあ!….あ、いや、アカン、アカン、ワテ、なんでアンサンとオリンピック談義せなあかんのや?」
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「(そうだ。ボクは一体、アイツとどうして、オリンピックの新競技なんて、ボクたちで話したところで、どうにもならないクダラナイことについてとやかく云っているんだ?)」
と、ビエール・トンミー氏は、見たこともないオリンピック委員会の会議室で、自分と友人のエヴァンジェリスト氏が議論する、あり得ない状況を想像していた。
(続く)
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