「(ボクは、歴史には凄く関心があるけど、政治的な問題には深入りしたくはないんだ…でも、アイツだって、本当は政治になんか関心はないと思うんだけどなあ。そうだ、やっぱり自分の無知を誤魔化そうとしているだけなんだ!)」
と、ビエール・トンミー氏が、眼前に友人のエヴァンジェリスト氏の2つの異なる姿が、そう、硬い表情で正面を見据える友人の姿と、いつものように変顔をする友人の姿が、揺らぎながら重なり、重なっては離れ、また重なる様が浮かんでいるように感じていると、そのエヴァンジェリスト氏から挑戦的なiMessageが入った。
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「でものお、『フォックス』の創業者の名前は、本当は『フォックス』じゃなかったんじゃろ?」
「何、云うてんのや?事実を否定しても無駄やで。『フォックス』の創業者は、『ウィリアム・フォックス』ちゅうハンガリー系のアメリカ人なんや。あ、そういうことかいな。アンサン、『ウィリアム・フォックス』が、ハンガリー的に云うと、『ヴィルモシュ・フックス』やさかい、本当は『フォックス』じゃなかった、と云いたいんやな。まあまあ、エエとこ突いとるけど、『フックス』も結局は、狐のことやさかい、アンサンが『フォックス』のことをキツネやあ、思うとったんを誤魔化すことはできひんで」
「まあ、ワシもちょっと小目に挟んだだけじゃけえ、あれなんじゃけど」
「あれなんじゃけど、て、ちっこい目に何を挟んだあ、云うねん?それも云うなら、小耳に挟んだ、やろが。どうでもエエけど、目に物挟んだら痛いで」
「いやまあ、聞いたんじゃのうて、書いてあるんを見たけえ、『小目に挟んだ』になるんよ」
「くだらんでえ」
「『ウィリアム』が『ヴィルモシュ』でも、『フォックス』が『フックス』でも、それは言語に違いによるスペルや発音の違いじゃけえ、問題じゃないんよ。問題は、『フォックス』の創業者の本当の、いうか、元々の名前は、『フォックス』じゃのうて、『フリート』やったあ、いうことなんよ。Wikipediaにも書いてあるし、『関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記』いうサイトにも書いてあるんよ」
「アンサン、またデジタル・ハンターしたんやな」
「『関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記』いうサイトが、『フォックス』さんのことをなんで詳しゅう知っとってんか、分からんけど、『フリート』は、ハンガリー語で『平和』いう意味らしいんよ。じゃけえ、『フォックス』さんは元々は、『狐』さんじゃのうて『平和』さんじゃったらしいんよ。あ!『平和』さんいうても、『平和ラッパ』さんじゃないけえね」
「はああ?『平和ラッパ』?誰や、それ?なんや、それ?」
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「(ああ、アイツと話していると、際限なく話が脱線していく。ここで、ボクが『平和』について言及していくと、アイツのことだ、また、センシティブな方向に持って行って、面倒臭い話になってしまう)」
と、ビエール・トンミー氏は、再び、眼前に、硬い表情で正面を見据える友人のエヴァンジェリスト氏が迫ってくる感に襲われ、思わず両眼を閉じた。
(続く)
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