「(ポケットに入れて気軽にいつでも携帯でき、夜間だろうが自撮りだろうが一眼レフ以上のクオリティの写真が出来るのが、今のiPhoneだ。接写、広角、露出、ピント合わせ、何でもiPhoneの方が性能がいい。レンズや画素の物理的スペックは一眼レフの方が(ガタイが大きいだけに)優秀だが、その差をソフトウエアの超高性能な機能で圧倒している。唯一、一眼レフが優るのは、その巨大なボディを生かした望遠だが、iPhoneだって、光学レンズで3倍、電子ズームで15倍の望遠がとれるし、そもそもそんなに望遠の写真撮る機会はない)」
と、ビエール・トンミー氏が、手にしているiPhone14 Proを裏返して、背面のカメラに見入っていると、友人のエヴァンジェリスト氏から唆すようなiMessageが入ってきた。
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「ああ、問題は、この前、発売開始されたiPhone15 Proに買い換えるか、いうことなん?」
「ああ、ソレ、ちょっとだけ考えたで。iPhone14Proを発売当初と余り変わらん価格でソフマップが買取ってくれるさかい、一瞬14を売って15を買おうかと思ったんや。せやけどほとんど変わらんさかい、馬鹿らしゅうてすぐにその考えやめたで」
「カメラ機能は、iPhone15 Proの方が、レンズがフレア防止加工が施されて逆光に強うなったとか、少しようなっとるんじゃろうけど、アンタが、iPhone14Proで撮った夜の日本橋三越の写真なんか、充分に秀逸じゃけえね」
「せやろ。あの写真は夜、帰りに歩きながら何となく撮った写真なんや。綺麗やろ。あないな写真を一眼レフで撮ろうと思うたら、高級機を使うて素人離れした技術が必要やで。一眼レフやと、AUTO機能では無理で、露出やシャッタースピードや被写体深度の知識を駆使して数値を調整してカメラを三脚に固定して撮らんとアカン。iPhoneは、スタビライザーの機能もあるさかい三脚も不用なんや。あの写真は歩きながらポケットからiPhone取り出して何も考えんで撮ったんやで」
「ああ、見事な、リアルな写真じゃ。じゃけえ、ワシもついついあの写真の中に入ってしまいとうなったんよ」
「は?え、ええ?....あ!おい、おい…」
「ああ、入ったけえ」
「うああああ!なんちゅうことすんねん!ワテの自信作が、綺麗な写真がああ…」
「なんか問題あるん?」
「はああ!問題、問題、大問題やないか!」
「ああ、そうじゃった。問題じゃった」
「ほんまに自覚できたんか!?」
「そうよね。問題は、『デジタル・カメラ』いう言葉いらん、いうことじゃのうて、他のことなんじゃろ」
「え?あ、あ、せや、せや。アンサンのせいで、また、アラン所に連れて行かれもうたで」
「は?アラン・ドロンのところに行ったん?」
「無視するで。ええか、日本語の言葉の省略のこと、話してたんや」
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「(そうだ。日本語の言葉の省略のことを話していたんだ。なのに、またまたアラン・ドロンとか云い出しやがって!ボクのことを、『アラン・ドロン』というよりも『ジェームズ・ボンド』だろう、とか、煽てて、またまた話を逸らすつもりだろうが、そうはさせん!)」
と、ビエール・トンミー氏は、iPhone14 ProのiMessageの画面の向こうにいる友人のエヴァンジェリスト氏に敵意を込めた視線を送った。
(続く)
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