2023年9月22日金曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その253)

 


「(話を逸らさせたりはしない。ボクは、日本語の言葉の省略の理屈を語るんだ。でも、どうして、そんな理屈を語ることになったんだったか…?)」


と、ビエール・トンミー氏は、どこか釈然としないものを感じつつも、友人のエヴァンジェリスト氏に向けて、先程より口先から出掛けては止められてきた理屈を語るiMessageを送った。



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「『ファミレス』とか『メントレ』、『デジカメ』なんかに違和感を覚えんようになったんにも、ちゃんと理屈があんのや」

「ワシは、『ファミレス』も『デジカメ』も違和感覚えるけどのお。『メントレ』は意味さえ分らん」

「アンサン、普通とちゃうさかい、アンサンを基準に考えたらあかんねん。今読んどる『日本語の大疑問』(国立国語研究所・編)ちゅう本によるとやな」

「え!アンタあ、『国立国語研究所』が出しとる本なんか読んどるん。凄いのお。『国立国語研究所』いうたら、よう知らんけど、日本語の研究をしとる国立の研究所じゃろ?」

「まあ、そうなんやろな、名前からして」

「その『国立国語研究所』じゃあ、『んぐっ!』いう言葉の研究もしとるんじゃろうか?」

「アンサン、ほんま、エエ加減にしいや。そないなオゲレツ言葉なんか研究対象になるかいな」

「『天は言葉の上に言葉を造らず言葉の下に言葉を造らず』じゃ」



「アンサン、言葉までアイコラすんのか。そんな『言葉アイコラ』、福澤はんが知ったら、泣きなはるで」

「言葉に罪はないけえ」

「それ、ワテ、ゲーノー界のこと、興味あらへんさかい、ようは知らへんけど、最近、問題になっとる芸能事務所に関連して、『タレントに罪はない』ちゅうのと同じ理屈やな。けどな、その理屈やったら、問題起こした会社でも、社員に罪はない、云うて社員とは取引したらあかんのやないか?タレントの出演料を事務所は報酬は取らんで、総てタレントに払うんやったら、問題起こした会社の社員に商品とかサービスの代金を全部、払うたらんかい!」

「なんねえ、アンタ、詳しいし、見識あるんじゃねえ!」

「あ!アカン、アカン。また、アンサンのペースに乗ってもうた。ワテが云いたいんは、そないなことチャウねん。『日本語の大疑問』ちゅう本によるとやな、『ファミレス』なんかに違和感を覚えんのは、日本語の省略は、語を意味上のまとまりによってグループに分割してから、そこから、各グループの冒頭を取り出して結合するのが基本やからそうなんや。例えば、こうや。


自由民主党→自民党

東京証券取引所→東証

薮から蛇→やぶへび


『コンビニエント・ストア』→『コンビニ』もこの法則の派生系やろな。『ホームセンター』→『ホムセン』が、嫌悪感を感じて許せんのは、この日本語の省略法則から外れてるからなんやとこの本で理由が分かったんや。『ホーム』→『ホム』が嫌悪感の理由や。ワテ、『絶対ホムセンとは云わんでェ』と誓うとるで」

「おお、アンタあ、さすがじゃねえ」


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「(いやああ、ボクが凄いんじゃないんだ。言葉のことをこんな風にちゃんと研究している人たちが偉いんだ)」


と思いながらも、ビエール・トンミー氏は、iPhone14 Proを持たぬ左手を、左後頭部の下の方にやり、そこからその手を首にずらし、撫でるようにした。


(続く)






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