「(アイツ、そもそも、何故、『ラガー』のことを、と云うか、『キリンビール』のことに話を持ってきたんだ?)」
と、ビエール・トンミーが、あらためて話の道筋への疑問を感じ出した時、その疑問をまた忘れさせる質問を友人のエヴァンジェリスト氏はいMessageで送ってきた。
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「でも、お酒を飲めんラグビー選手は、『キリンレモン』でも飲むんじゃろうか?」
「ああ、そりゃ、『水物』やろな」
「『水物』?」
「清涼飲料水のことや。清涼飲料は、『キリンビール』やと、社内的には、『水物』と称しとったと聞いたことがあるんや。ワテが、社会人になった頃は、もっと牧歌的な時代で、『キリン』には、『キリンエード』、『キリンレモン』の2品種くらいしかあらへんかったなあ」
「社会人になった頃いうたら、アンタが、『原宿の凶器』をブイブイ云わせとった時期じゃね」
「ああ、全盛期やで。あん頃は、『キリンビール』も全盛時代で、当時は、『キリンビール』の売上1兆円の殆ど総てが、『ラガー』の大中小(そして缶)、それから『キリンエード』と『キリンレモン』やったんやてな。そんな小品種大量生産の時代やったんや。その目ェから見ると、今のスーパーやコンビニの色鮮やかな各種ビールや清涼飲料の売場は異次元の世界やで」
「アンタあ、名前が『ビエール』だけに、ビールのことは詳しいんじゃねえ。一般の読者の中には、アンタのことを『ピエール』と思うとる人もおるかもしれんけど、『ピ』じゃのうて『ビ』じゃけえね」
「ああ、『ビエール』は『Bière』や。フランス語で『ビール』のことやねん」
「おお、さすが『SNCF』(フランス国鉄)の大家!でも、アンタあ、ビールいうても『キリン』のことばっかりじゃね」
「ああ、ワテ、サラリーマンを引退するまでは、『キリン』以外のビール飲んだことなかったんや。『スーパードライ』も飲んだことなかったんや。けどな、引退してからにやな、ある時、興味本位で『スーパードライ』飲んだら、その美味しさに驚いたで。『こりゃ、売れるのも無理ないで』と思うたで」
「おお、ワシはビールの味は分らんけど、『スーパードライ』はそうように美味しんじゃね。じゃけえ、『ラガー』いうたら、『キリンビール』のもんみたいな感じじゃったけど、『ラガー』つまり『ラグビー』のワールドカップのスポンサーに『アサヒビール』がなったんじゃね」
「アンサン、まだ態と『ラガー』違いのことゴチャゴチャさせよるなあ」
「アンタを感心させた『村井さん』はさすがじゃね!」
「は?」
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「(ああ、そういえば、『村木勉』、あ、じゃなかった。『村井勉』という人、『マツダ』いや『東洋工業』か、まあ、どっちでもいいけど、その社長になった人のことを話していたんだった…)」
と、ビエール・トンミー氏は、脳の中を友人のエヴァンジェリスト氏に攪拌されているような感に襲われながら、記憶を辿った。
(続く)
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