「(ああ、いかん、いかん。こうやって、またアイツに誤魔化されるんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、気を取り直して、アイツこと友人のエヴァンジェリストから、新たな混乱を生じさせるiMessageが送られてきた。
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「でも、さすがのアンタも、『佐佳枝亭』をただ和食の店としか見破れんかったんじゃね」
「え?和食の店やあらへんのか?」
「広い意味では和食の店じゃけど、ジャンルでいうと、蕎麦屋さんなんよ」
「まあ、和食の店でも蕎麦屋でもどっちゃでもエエがな。要するに、天皇はんは、泊ったホテルの近くにあるそのナントカ亭に行って、カツ丼食べはったんか?」
「いや、天皇が、『佐佳枝亭』に行ったかどうかは知らん。それに、あのカツ丼は、『佐佳枝亭』じゃのうても、福井じゃたっら、まさに普通にあるみたいじゃけえ」
「おお、せや、せや。ほんまの問題は、そのナントカ亭やないで。カツ丼や。普通やあらへんカツ丼や」
「出張で初めて福井に行って、お客さんの所に入る前に昼食を摂ろうと思うて入ったんが、『佐佳枝亭』じゃったんよ。で、ワシ、カツ丼好きじゃけえ、カツ丼を頼んだら、とんでもないモンが出てきたんよ」
「おお、普通やあらへんカツ丼やな」
「アンタあ、よう聞きんさいや。『普通やあらへんカツ丼』云うたら、福井の人にどやされるで。福井の人たちにゃあ、それが『普通のカツ丼』なんじゃろうけえ」
「でも、卵で閉じた普通のカツ丼とはちゃうカツ丼やったんやないんか?」
「おお、やっぱり洞察力がすごいのお。そうなんよ。ソースがかかかったトンカツがご飯の上に乗ったモンが出てきたんよ」
「あ~あ~、『ソースカツ丼』やな」
「なんねえ,アンタあ、『ソースカツ丼』知っとったん?」
「ソースっよ」
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「(しまった!くだらない親父ギャグを云ってしまった)」
と、ビエール・トンミー氏は、誰も見ていないのに、iPhone14 Proを持たぬ左手で、自らの頭をポリポリと掻いた。
(続く)
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