「(話に出てきた言葉を同じ音、似た音の別の言葉に置き換えて、いや、聞き違い、見違いをしたようにして、話を別に方向に持っていくのが、アイツの常套手段だ)」
と、ビエール・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏の次の手に備えようとしていたところ、エヴァンジェリスト氏からは、意外にもストレートな質問のiMessageが届いたのであった。
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「アンタも『新島』に行ったん?」
「へ?」
「あ、行ったんじゃね!」
「い、いや…ああ、うう…」
「アンタ、いつから『大平正芳』になったん?まさか今(2023年12月)流行りの『お答は差し控えさせて頂きます』云うんじゃないじゃろうねええ」
「なんやてえ!ワテは、あの男のような卑怯モンとはちゃうで。正直に云うたる。ああ、行ったでえ。ワテ、学生時代、『新島』に行ったことあんねん。『ウイーク・ゴールデン』とその友だちとワテの3人で行ったんや」
「え!?『ウイーク』て、ワシ、会うたことないけど、変態野郎じゃろ?」
「せや、ド変態や。『ウイーク・ゴールデン』は、大学卒業後、テレビにも出る仕事に就いて、ちょっと世間に顔が売れとるさかい、それこそ、その職業は、『お答は差し控えさせて頂きます』やけど、同じゼミやったんやが、『ウイーク』の奴、ゼミ合宿で酔っ払うて、『もう見せちゃう』と云うて、『臨戦体制!』と『ブツ』をみんなに見せおったんや」
「おお、類は友を呼ぶじゃね。でも、後に『原宿の凶器』の異名を持つことになるアンタの前で、よう『ブツ』を披露したのお」
「『ウイーク』の兄貴は、東京藝術大学卒で某有名オーケストラの団員や。ド変態の本人もクラシックの知識が豊富でフルートを吹いとったで」
「お!アンタ、まさか、ド変態の『ウイーク』に、アンタの『フルート』を吹いてもろうたりはしとらんよのお?」
「ワテの『フルート』を吹く?...あ、はん?!おんどれ、エエ加減にさらせよ!」
「あ!すまん、すまん。ほうじゃった、『原宿の凶器』が『フルート』な訳ないよのお。『フルート』じゃ、細すぎるけえ、『ファゴット』じゃろうか、いや、そりゃ、ちょっと大袈裟じゃけえ、『オーボエ』か『クラリネット』かねえ?あ、和楽器の名前は云わんよ。オゲレツになるけえ」
「アホンダラあ!もう十分オゲレツやあ!」
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「(本当にどうしようもないオゲレツ野郎だ。だけど…)」
と、ビエール・トンミー氏は、結婚前に少しだけ付き合った女が、『アタシ、ブラスバンドでクラリネット吹いてたんだけど、ふふっ』と、跪いたまま上目遣いに自分を見上げてきたことを思い出した。
(続く)
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