「(『電灯が兄嫁』って、『電灯 is 兄嫁』ということではなく、『電灯』を取り付けたのは『兄嫁』だった、とか、そういう意味のことなんだろうか?いや、その前に、『東京物語』で『兄嫁』って、誰のことか、アイツ,分っているのか?)」
と、ビエール・トンミー氏は、抱いた疑問を、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageで送った。
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「アンサン、『東京物語』見てへんやろ?」
「おお、見とらんでえ」
「偉そうに云うやないか。『東京物語』見てへんのに、『兄嫁』って誰のことか、分るんかいな?、『嫁』、つまり、『笠智衆』の息子の嫁の『原節子』のことやで。でも、『兄嫁』いうからには、『笠智衆』の息子には弟、もしくは、妹がおって、そこから見た存在いうことなんや」
「なんかややこしいこと云うのお」
「で、確かに、『笠智衆』の息子には妹がおったんや。『香川京子』や」
「『香川京子』は、よう知っとるで。『高島忠夫』を震え上がらせたけえね」
「は?『高島忠夫』は、『東京物語』には出てきいへんで。あ、『香川京子』は、『高島忠夫』と付き合うてたんか?」
「『香川京子』は、『高島忠夫』の奥さんじゃったんよ」
「そないなこと知るかいな。いつも云うてる通り、ワテ、芸能人が誰と結婚したとか離婚したとか興味ないねん」
「NHKの朝ドラ『ふたりっ子』の中でのことよね。『高島忠夫』と『香川京子』は、主人公の双子の姉妹の祖父母役じゃったんよ。『高島忠夫』は、学校の理事長じゃったんじゃけど、家庭でも学校内でも横暴で、ついに理事長を解任されたんよ。そしたら、奥さんの『香川京子』が、それまで夫に虐げられてきた鬱憤を爆発させて大暴れして、『高島忠夫』を震え上がらせるようになったんよ」
「いらん情報や」
「『ふたりっ子』では、『高島忠夫』と『香川京子』も良かったけど、『真剣師』の『銀じい』こと、『佐伯銀蔵』が良かったのお。ああ、『真剣師』いうんは、賭け将棋とか賭け麻雀で生計を立てとる人のことなんよ」
「いらん、いらん。そないな説明いらへん」
「『真剣師』は、裏稼業じゃけえ、所謂、プロの将棋指しとかプロの麻雀師とは違うんよ。将棋の『真剣師』は、『くすぶり』とも云うんじゃと。あ、間違えんさんなよ。『くすぐり』じゃないけえね」
「ほら、また出たで、『間違えんさんなよ』が。間違える訳なやろ」
「アンタあ、ようオナゴと『くすぐり』合いをしてきたじゃろうけえ、間違えるかもしれん思うたんよ」
「せやから、間違えへんて。確かに、オナゴとよう『くすぐり』合いはしてきたけどやな」
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「(ああ、いかん、いかん。いかんのは、ボクだ。また、アイツのペースに嵌ってしまってる)」
と、ビエール・トンミー氏は、iPhone14 Proを持たぬ左手で拳を作り、自らの額を2度、コツンコツンと打った。
(続く)
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