「(いや、『ウイーク・ゴールデン』が、ボクの『フルート』を、なんて想像しただけで気持ち悪い!)」
と、ビエール・トンミー氏が、友人のエヴァンジェリスト氏が云ってきた悍ましい妄想を脳裏に営巣化してしまい、思わずえずいてしまった時、エヴァンジェリスト氏が次の矢を放ってきた。
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「ああ、アンタの『クラリネット』を吹いたんは、『ウイーク・ゴールデン』じゃのうて、『新島』で出会うた女じゃね?」
「『クラリネット』は、もうやめれ!」
「『新島』じゃあ、色々、ワルいことしたんじゃろう?」
「別にな~んもあらへんかったんや。ただ、海水欲しただけや」
「ほほー!海水『欲』じゃったんじゃね。海の中じゃったら、ナニしても分らんけえね」
「ああ~あ、ちゃう、ちゃう!打ち間違えや。海水『浴』や」
「おお、そりゃ、海に入ってじゃったら、海水を浴びながらになるじゃろうけえね」
「水浴びながらて、アホか、衆目のある海でそないなことするかいな。ホテルの部屋の風呂とはちゃうんやで」
「え!アンタあ、ホテルの部屋の風呂で!」
「ああ、ちゃ、ちゃ、ちゃう、ちゃう!例えや、例え」
「じゃあ、『新島』の『モアイ像』の陰でシタん?」
「お、それや!」
「ああ、やっぱり、『モアイ像』の陰でシタんじゃね!」
「ちゃうで。『モアイ像』やのうて『モヤイ像』や、何遍も云うたやろうが。『新島』のあんのは『モアイ像』やのうて『モヤイ像』で、『新島』が渋谷区に寄贈したんも『モヤイ像』やで。『モヤイ』いうんはやなあ、『新島』の言葉、習慣で『協力すること』や『助け合うこと』を意味すんのや」
「おお!そうじゃたんじゃねえ!」
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「(ああ、ようやく納得したか、アイツも。尤も、新島の『モヤイ像』は多分、イースター島の『モアイ像』に引っ掛けた言葉でもあるかもしれないんだが、まあ、いいだろう)」
と、ビエール・トンミー氏は、若干の疚しさを覚えながらも、安堵に両肩を落とした。
(続く)
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