「(確かに、ボクが子どもの頃もまだ、お隣さんと砂糖や塩といった調味料の貸し借りをする、ということは、ドラマの中でもあった時代だった。でも、ボクの母親が、実際に、お隣さんと砂糖や塩の貸し借りをするのは見たことはなかったんだ。お酒もだ。でも、アレはあったなあ)」
と、ビエール・トンミー氏は、自身の記憶の中にもあった『東京物語』中の物を思い出し、それについて、友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageを送った。
====================================
「アンタ食卓の上の蠅避けの網覚えとるか?半円形のドーム形のやっちゃ」
「そりゃ、覚えとる。ウチにはなかったと思うけどのお」
「昔は、ちゃぶ台の上の食事に上に『蠅よけ網』を掛けるのが当り前やった」
「あれは、折りたたみ式の『蠅帳』(はいちょう)いうらしいのお」
「さすが、プロのデジタル・ハンターやな。仕事が速いで。その『蠅帳』にやなあ、『東京物語』で、一升瓶を貸してくれた隣人は、赤ん坊を置いてたんや」
「え!?赤ちゃんが、入っとったん、『蠅帳』に?」
「せや。赤ん坊にまるまる被せてあったで。東京ではコナイな使い方しとったんやろか?」
「テントじゃあるまいしのお」
「『東京物語』で何で、『蠅帳』の中に赤ん坊が入っていたのか謎や」
「んん?そりゃ、食卓の上の蠅避けの網によう似とる赤ちゃん用の網じゃないんかねえ?」
「へ?」
「網いうか蚊帳じゃね。Amazonなんかのネットで『ベビーベッド用蚊帳』で調べてみんさい」
「あ、アンサン、もう調べたんやな。画像送ってくれたら早いんやけど、ああ、著作権の問題があるんやな」
「著作権?アンタあ、時々、意味不明なこと云うのお」
「おお!コレや、コレ」
「『ベビー用モスキートネット』みたいな云い方もするみたいじゃ。『ベビモス』じゃね」
「やめれ!ワテが、言葉の安易な省略が嫌いなんは、知っとるやろ!」
====================================
「(アイツ、確信犯なんだ。ボクが言葉の省略が嫌いなことを知っていて、態と『ベビモス』って云ってきたんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、憎しみの心の中で、友人のエヴァンジェリスト氏を剣で滅多刺しにした。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿